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No.17 広島大学学術院 助教(大学院総合科学研究科)緒形 ひとみ 先生

运动?食事から「健康」を考える

緒形先生 写真
取材日:2017年7月26日
広島大学学術院 助教
(大学院総合科学研究科)
緒形 ひとみ 先生

専门分野:スポーツ栄养学

経歴:
1999年04月~2003年03月 筑波大学, 体育専門学群
2003年04月~2005年03月 筑波大学, 大学院体育研究科, 健康教育学
2005年04月~2007年03月 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, スポーツ医学
2008年04月 東京大学大学院 教育学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
2011年04月 筑波大学 体育系, 特任助教
2014年01月 筑波大学 体育系, 日本学術振興会特別研究員(RPD)
2016年09月 広島大学 大学院総合科学研究科, 行動科学講座, 助教

今まで取り组んできた研究

 私は今まで师事してきた先生方のご厚意や方针もあり、自分の専门以外にも幅広く「运动」や「食事」、「健康」に関するたくさんのテーマに取り组んできました。

 中でも「エネルギー代谢」については、メインテーマとして扱ってきた内容です。体内で使われるエネルギー源は、糖质、脂质(体脂肪)、タンパク质という顺番で使われやすくなっています。つまり、食后は口から摂取したエネルギー源を使った炭水化物酸化が优位となり、絶食时间が长くなるにつれて体内に蓄えられている脂肪を使った脂质酸化が优位となります。私の今まで行ってきた研究の一部では、どんなタイミングで食事をすれば体脂肪が燃えにくい、あるいは燃えやすいかに注目し、朝食を摂取する前に运动を行うとその际のエネルギーとして脂质が使われやすい、ということを明らかにしました。その他、睡眠と食事がエネルギー代谢に及ぼす影响などについても取り组んできました。これらの研究は、広岛大学へ来る前、筑波大学に在籍していたころに「ヒューマン?カロリーメータ」という装置を用いた呼気ガスを测定する実験によって研究してきたものです。

 また「血糖値変動(ゆらぎ)」についても研究を進めてきました。「健康な人と糖尿病患者の血糖変動の違い」について調べた研究において、健常者では大きなゆらぎが出現した後、一定時間経過すると、ゆらぎは収束に向かうのに対して、2型糖尿病患者ではゆらぎを収束する機構が欠如しているか、減弱していることを明らかにしました。また、「身体運動制限による影響」について調べた研究では、若年健常者を対象にNEAT(non-exercise activity thermogenesis:非運動性体熱産生)を制限すると、血糖値の揺らぎを収束する機能が提言することを明らかにしました。つまり、これは運動強度およびエネルギー消費量が比較的小さい運動であっても、その量が減少することが2型糖尿病を発症する原因となる可能性を示唆する結果です。

今まで取り组んできた研究 画像

 血糖値をはじめとする身体の状态を表すデータ(パラメータ)は、生体が持つリズムに応じて不规则に変动(ゆらぎ)しています。近年、この“ゆらぎ”は正常に机能しているか否かを示すシグナルの1つと考えられています。このように様々なパラメータの特徴に注目しながら、食事や运动といった条件が生体リズムや代谢に対してどのように影响するかを明らかにしたいと考えています。食事や运动のタイミングを工夫することで、24时间社会の现代において薬を使わなくても健やかに过ごせるような科学的根拠を示していくことを目指しています。

现在进めている研究

 「早寝早起き朝ごはん」が文科省より推奨されていますが、生理学的なエビデンスが少ないのが现状です。他方で、人の生活リズムのリセットというのは日光と食事の影响が最も大きいと言われています(注1)。ということは、朝食を食べなければその生活リズムが上手くリセットされないということになります。私はそれらが人间の生活リズムに及ぼす影响や変化についてみてみたいと考えています。

 また、私はずっと运动に関わってきましたので、「运动」という要素も人の生活リズムに何らかの影响があるのではないかと推测しています。今まで私が述べてきた研究に関してはラットやマウスを用いた动物による実験は数多く取り组まれていますが、ヒトを対象とした実験はあまり多く行われていません。やはり人间とマウスやラットは生物としても异なるので、人间のデータを计测することはこの分野の研究上大変有意义であると考えています。

 今后はフィールド実験を行い、様々な条件の人々(朝食を毎日摂る?摂らないなど)のデータを収集し、どのような违いがあるのかをみていく方法を採用し、被験者の生理学的データをきちんと集めていく予定です。

(注1)「私たちのからだには「体内时计」と呼ばれる机能があり、25时间の周期で睡眠や体温、血圧、ホルモンの分泌などのリズムを刻んでいます。一日は24时间なので、このズレを调整する必要がありますが、朝日を浴び、朝食をとると、この体内时计がリセットされ、一日の生活リズムが整います。」农林水产省贬笔より引用()。

研究風景 その1 写真

今後の展望 ー「運動」と「食事」?「睡眠」からみんなを健康に

 基本的には「健康」をキーワードに研究を进めていきたいと考えています。人间というのは(皆さんも経験があると思いますが)思春期ごろから夜型へとシフトし、年を重ねるにつれて朝型へと移っていく倾向があると言われています。しかし、実际の社会生活はそのような生来の生活リズムに合わせたものではありません。例えば、子供たちが通う学校などは朝早くから始まりますから、私たちの方が社会の生活リズムに合わせて暮らしていかなければなりません。私は、このように无理に社会の生活リズムを合わせなければならない人たちに、食事のとり方やタイミングを指导したり助言したりすることで、生活リズムを调整して健康に近づけるよう支援をしていきたいと考えています。

 また、私自身の専门は运动栄养学やスポーツ栄养学なので、アスリートの时差ボケによるパフォーマンスの低下改善などにも役立てることができると考えています。アスリートはそれぞれ経験上の対応策を持っているかもしれませんが、それに食事や睡眠、运动方法などの方面から科学的なエビデンスを示したり、より体系的な対応策を提示したりしていきたいと考えています。

 私だけでできることは限られているので、いろいろな先生方と协力しながら、スポーツをずっとやってきた自分自身だから言える方法で、「健康」にアプローチしていきたいと考えています。

研究に一途に取り组んだ大学院生时代

 本格的に研究というものに携わるようになったのは大学4年生の时でした。研究を始めてからは、部活动一色であった生活が研究一色の生活に様変わりしました。というのも私の性格上、一つのことに集中してしまうタイプで、研究と部活动とどちらも取り组むと共倒れになってしまうと思ったので、大学院に进学后は部活动をすっぱり辞め、研究に打ち込むことにしたからです。

 その后、博士课程后期へ进学しようと决めたのは、修士2年生の时に「研究が面白い、もっと突き詰めたい」と考えたからだったと思います。当时は(あまり望ましいとは言えませんが)将来の仕事などについてはあまり考えていませんでした。振り返ると、私としては博士号を取りたいからではなく、やりたいことをずっとやってきたら偶然にも学位が取れた、という印象です。修士时代から指导してくださった先生は「学位なんか运転免许と一绪だ」と仰っていました。学位を取得することがゴールではなく、学位を取得してからが本番。その先生の考えに感铭を受け、その后はそれに従って研究を楽しみながらも日々顽张ってきました。

 私が所属していた研究室の先生は、一つのテーマだけでなく色々なテーマの研究に挑戦させてくださる先生でした。また、先生の科研费や助成金の申请を见せていただくという场面が数多くあり、私が书いた申请书も先生が何度も手直しをしてくださり、更に先生の申请书类の作成を手伝ううちに上手な书类の书き方や、どうすれば申请が採択されるかなどのコツを学ぶことができました。この経験は、现在自分自身が研究者として活动していく上でとても役立っていて、大変ありがたいことだったと考えています。

 研究生活では、今まで大変なこともあったと思いますが、全てが上手くいくことはないし、大変なことがあってもそれは当たり前だと考えていたので、それほど辛いと思ったことはありませんでした。ずっと研究室にこもって朝から晩まで実験や研究に打ち込むことができたのは、今から考えると、部活动でずっと练习に打ち込んだ経験のおかげかもしれません。そして、一度决めたら最后までやり通したいという気持ち、负けず嫌いな自分の性格もあったと思います。

研究風景 その2 写真

学生へのメッセージ―あきらめないこと?学位の「その先」

 私が研究を続けていく上で大切だと思っていることは、兴味がある対象に対してあきらめない姿势です。また、研究を続けていると思ったように上手くいかず、落ち込んだりすることもありますが、その时に気分の落ち込みを最低限に抑えてコントロールすることも同様に大切です。そして、后ろを向かず立ち止まらないで进んでいくこと、分からないことを恐れずにどんどん専门家に寻ねてみるということも、心に留めておいていただきたいと思っています。というのも、研究というのは1年や2年でできることではなく、长く続けることが必要となるからです。

 また、繰り返しになってしまいますが、学位を取得することがゴールではなく、学位の先に続く何かを见据えて行动し、进むことが必要です。今の时代、学位を取得したからといってすぐ就职という风にはいきません。学生の皆さんには、学位は「过程」であると知り、もっともっと先を见て行动してほしいと思います。

 最后に、研究室に配属になると基本的にその研究室が世界の全てになりがちです。そのため、一つのことには详しくなる一方でその分全体の视野が狭まってしまうという状况に陥りかねません。ですから、研究室以外の色々なことに首を突っ込み、见识と知り合いの轮をどんどん広げていって欲しいと思います。

 

取材担当:谷 綺音 (広島大学 総合科学研究科 博士課程後期1年) 


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