先进理工系科学研究科の大山谅子さんにお话を伺いました。
大山さんは、令和2年4月に広岛大学の先进理工系科学研究科博士课程后期に进学され、次世代フェローに採択されています。令和4年度に上位フェロー、令和5年度に最上位フェローに选出されています。
今回は、大山さんに、博士课程后期で実施している研究や生活の様子など、様々なお话を伺ってきました。(记载の情报は取材时点のものです。)
(取材日:2023年2月22日)
【博士课程后期の研究内容について】
■大山さんの研究内容について教えてください!
私は「有机化合物への光照射で生じるラジカル解析を通した、有机化合物の光化学反応メカニズムの解明」を行っています。
物质に光を当て光が吸収されると、光エネルギーにより物质が高いエネルギー状态(励起状态)になり、化学反応が起こる场合があります。これを光化学反応といい、光化学反応がどのように起こるのかを明らかにすることで自然の摂理を理解することができます。
私たちの身近に存在する有机化合物、そのいくつかは光を吸収すると、不対电子をもった原子や分子(ラジカル)が発生することが知られています。しかし、多くのラジカルは不安定で非常に反応しやすいため、実际の反応条件下で実験的にその存在と构造を観测することは困难です。
そこで私は、ラジカルが介在する有机化合物の光化学反応の反応メカニズムを详细に解明するため、実験的にラジカルを観测、特定することに挑戦しました。
実际の光化学反応条件下でラジカルが発生することを実験的に証明するため、“スピントラップ法”という手法に着目しました。スピントラップ法では、スピントラップ剤という试薬が不安定なラジカルを捕捉して、安定で长寿命なスピンアダクトとなるため、室温(词25℃)での観测が可能となります。私はこの手法を用いて有机化合物の光反応系中でどのような构造を有するラジカルが発生しているのかを特定し、さらに得られたラジカル情报を基に、光反応メカニズムの解明を行いました。
■化学を専攻することになった経纬を教えてください。
最初は医学部を目指しており、1年间予备校で浪人生活を送っていました。志望先を理学部化学科に変えた理由は、浪人中にパワフルな先生方から化学の面白さを教わり、“化学”という学问に兴味を持ったからです。また高校教员になって、大学で学ぶ化学の専门知识や奥深さを高校生に広めたいという想いも持っていました。そこで広岛大学の理学部化学科に进学し、化学の勉强と中高の教员免许(理科)取得に励みました。
■今の研究テーマを选んだきっかけはなんですか。
研究室に配属された当初は、近赤外光でがん治疗薬を発生できる有机化合物の设计と合成に取り组んでいました。がん治疗薬として発生させるものはラジカルなのですが、合成した有机化合物に光照射し、どのような性质を持つラジカルが発生するのかを特定することに苦戦しました。ラジカルの正体が分からない限り、がん治疗薬に使用することはできません。どうやって実験的にラジカルの构造を特定すれば良いのか解决方法を考えていくうちに、気づけば今の研究がメインテーマとなっていました。
■研究の面白さ?魅力をどんな时に感じますか?
测定に苦労して见えなかったものがやっと见えた瞬间や、新しい现象が见えた时に面白さを感じます。有机合成だと、时间をかけて苦労した化合物がやっとできた时はすごく嬉しいです。何より一番嬉しいのは、自分の研究成果をまとめた论文がアクセプトされた瞬间ですね。
【博士课程后期の生活について】
■毎日のスケジュールを教えてください。
研究室は、8时45分から18时のコアタイムがあります。基本的にはコアタイム内で実験が终わるようにしていますが、1日に复数测定がある场合は、夜遅くまで作业することもあります。
また私の研究室では週2,3回、报告会や论文绍介をする雑誌会があり、报告会は全员英语で発表しています。研究室内で英语を使用する机会が多いおかげで、学部4年生の顷よりかなり英语力が上がりました。
■研究活动に行き詰った时やモチベーションが下がった时は、どう解消していますか?
実験で上手く行かなかった日は、何も考えず早く帰ってすぐに寝ます(笑)もしくは、散歩や料理をしている时などによくアイディアが浮かぶので、作业しながら何か考えることのできる时间を作っています。
また行き詰って心が折れないようにするため、身体を动かすことも大事にしています。身体を动かすと自然とポジティブに物事を考えることができるんです!
一人で考えてもどうしても上手くいかない场合は、先辈や先生などに相谈することで悩みを解决させています。
■大山さんは次世代フェローに採用されていますが、フェローシップ制度について感じていることがあれば教えてください。
フェローシップ事业が开始された时は、やっと、こういう制度ができたんだ!と思いました。フェローシップ制度ができて本当にありがたかったですし、心がホッとしました。研究费がいただけるのも助かっています。
HU SPRING 100人論文のような、フェローの活動についてのアウトリーチの機会がもっとあればよいと思います。
【产业技术総合研究所(产総研)での长期インターンシップ、イノベーションスクールについて】
■产业技术総合研究所(产総研)での长期インターンシップ、イノベーションスクールについて教えてください。
博士课程后期1年の春、広岛大学グローバルキャリアデザインセンターに博士号取得后の大学以外の研究职としてのキャリアパスを知りたい旨を相谈した际、产総研を绍介していただき、応募しました。长期インターンシップ制度を利用し、実际につくば市の产総研にて约2か月间、実务体験をしました。受け入れ先では、有机化合物のフロー合成をパソコンのボタン1つで制御できるようなプログラムの作成、プログラムを使用してのフロー合成、生成物の同定と収率评価を行いました。
イノベーションスクールでは、研究费申请书や论文の书き方、多様なステークホルダーとの连携方法など研究者にとって必要な知识を教わりました。また、本スクールでは様々な分野、大学からの学生が参加しており、课题解决型のグループディスカッションや交流会では、非常に有意义な时间を过ごすことができました。インターンシップは博士课程后期からの応募ですが、イノベーションスクールは博士课程前期でも応募が可能なので是非応募してみてください。
&苍产蝉辫;研究室で研究に取り组まれている様子
&苍产蝉辫;研究室で研究に取り组まれている様子
【学生団体叠贰础厂罢での活动について】
■叠贰础厂罢の活动内容を教えてください。
2021年に设立された学生コミュニティです。叠贰础厂罢には様々な分野の学生が集まり、“サイエンスと社会を繋げる”というメインミッションのもと、研究ピッチコンテスト骋贰狈厂贰碍滨や研究の社会実装、サイエンスコミュニケーションなどの活动に取り组んでいます。また、异分野交流も盛んに行っていて、様々な分野の研究を知ることができるだけでなく、研究テーマを考える上でのヒントを得ることもできますよ。
■叠贰础厂罢にはどのような経纬で参加されたのですか?
博士课程后期1年の春、アカリクという就职活动支援に関する会社のオンラインイベントを通じて、叠贰础厂罢の存在を知りました。博士课程后期に进学した年は、コロナ祸で様々な学会や交流イベントが中止され、研究、キャリアパスともに不安を抱えていました。そのような状况の中、叠贰础厂罢の活动を知り、すぐに参加を决意しました。
运営メンバーには、全国から多様なバックグラウンドを持つ学部から博士学生が参加しており、社会におけるサイエンスの认知を上げようと、研究ピッチコンテストや博士号取得后のキャリアパスに関するイベント等を开催しています。运営メンバー全员、何かしらの热い想いを持っているので、ミーティングをすると、次々と新しいアイディアが出てくるので本当に楽しいです。
■大山さんが担当されているプロジェクトはありますか?
今、キャリアプロジェクトCareers Yell(かえ~る)の運営メンバーをしています。
本プロジェクトでは、博士?研究者のキャリアデザインや博士课程后期への进学に悩む学生のヒントになるようなキャリアイベントを开催しています。具体的なイベント情报は、叠贰础罢の奥别产サイトからチェックしてみてください。
【博士课程后期への进学について】
■大山さんが博士课程后期への进学を决めたきっかけは何ですか?
学部の2年生の时までは、学部卒业后には教员になろうと思っていました。でも、学部3年时で専门的な授业を受けるようになり、化学って奥深いな、もう少し极めたい、化学の奥深くまで知りたいなと思うようになりました。そこで、博士课程前期までは进もうと决めました。さらに、研究室に配属されてからは、自分の手で时间をかけて研究したい気持ちが强くなり、学部4年生の时に博士课程后期に进学する决心をしました。
■博士课程后期への进学に対する家族の反応はどうでしたか?
学部4年生の时に家族に相谈したところ、「なんだと!?」という感じのリアクションをされて、亲戚に博士号取得者がいないことからも心配されました。でも、进学したいという気持ちが强かったので、研究成果を出して亲を説得しよう!となりました。学会に参加する毎に「〇〇学会で△△に行ったよ~」などと报告をしていましたね。学会で受赏したり、论文を発表したりするようになってからは、研究活动を応援してくれるようになりました。
【将来のキャリアパスについて】
■今后のキャリアについて教えてください。
博士课程后期修了后の春からは、冲縄科学技术大学院大学(翱滨厂罢)でポスドクに就きます。翱滨厂罢では、有机化学エレクトロニクスのユニットに就く予定です。一度公司への就职も考え、色々な公司説明会に参加したのですが、自分に合った公司が见つかりませんでした。この先のキャリアに関してはまだ分かりませんが、色んな研究分野に触れて知识を増やしたいのでアカデミアを考えています。
【后辈へのメッセージ】
■学部生时代にやっておけばよかったことはありますか?
学部生の时に、「やりたい」と思ったことにチャレンジできる场所を探せばよかったかなと感じています。チャレンジしたいけどどうしたら良いのか分からない场合は、身近な人や色んな大人に相谈してみてもよいと思います。掲示板や奥别产等に连络先が书かれてある场合は、连络をしてもよいということなので、どんどん行动しましょう。
后は、研究室に入ると研究渍けになるので、息抜きになる趣味を见つけておいた方がよいと思います。
■最后に、博士课程后期を目指す学生たちに、何かメッセージをお愿いします!
博士课程后期を目指すと决めたその决断力、すごい!と思います。応援しています。ただ、どこかで大きな壁にぶつかることがあるかもしれません。もし心がポキッと折れそう、そう感じたら一人で抱え込まず、あなたを助けてくれそうな信頼できる大人に助けを求めてください。
そしてもう一つ、博士取得后のキャリアパスや自身の能力を知る机会を作るため、数ヶ月间は研究室を离れ、违う场所で実务経験を积むことをお勧めします。私は约2か月间产総研でインターンをさせていただいたおかげで、自分には研究职が向いていることや、违う场所に行っても研究を遂行できる能力があることに気づけました。
最后に、どうか心身の健康には気をつけてくださいね。これからの皆さんのご研究活动を応援しております。
【取材者感想】
「学生団体での活动など、研究活动以外も活动的な大山さんは、インタビューでも明るく快活な様子を见せてくださり、エネルギッシュさを感じました。また、研究者としての信念や芯の强さも勉强させて顶きました。大山さんの今后のご活跃をお祈りします。」(理学部物理学科4年?横山贵之さん)
「自身の研究内容だけでなく、学外の研究机関や学生団体への参加など、お话の内容がとてもエネルギッシュでした。チャンスを待つのではなく、积极的に手を上げてチャンスを得る姿势にとても感铭を受けました。今后も、様々な场面でのご活跃を応援しております。」(工学部第叁类4年?松原正真さん)

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