学長式辞 令和7年度秋季学位記授与式 (2025.9.19)
本日、学位记を受けられた381人の卒业生、修了生の皆さん、诚におめでとうございます。令和7年度の秋季学位记授与式にあたり、広岛大学を代表して心よりお祝いを申し上げます。
特に海外から来られた留学生の皆さんは、文化や言语の壁を乗り越えて学んでこられました。不屈の精神とご努力に心より敬意を表します。
皆さんの胸には、キャンパスで友と语り合い、教授と议论し、悩み喜んださまざまな日々が去来していることでしょう。これら一つ一つが、人生を支える粮となるはずです。広岛大学での学びを支えてくださったご家族や友人をはじめ多くの方々への感谢の気持ちを、どうか忘れずに持ち続けていただきたいと思います。
今年、広岛は被爆から80年の节目を迎えました。本学は広岛市内にあって被灾した九つの前身校の歴史を受け継ぎ、1949年に开学しました。「平和を希求する精神」を理念の第一に掲げ、広岛の復兴とともに歩みを进めながら、今や中国?四国地方を代表する総合研究大学に発展しました。原爆の犠牲になられた方々の无念を忘れず、平和への道を探求していくことは、本学にとって永久不変の使命であります。
しかしながら世界に目を向ければ、戦火が続くロシアとウクライナの停戦のめどは立たず、パレスチナ?ガザではイスラエルが军事作戦を広げ、人道状况も悪化の一途をたどっています。一方で、排外的な自国第一主义が世界を席巻しようとしています。国际社会が直面する厳しい现実を目の当たりにして、心を痛めておられる皆さんも少なくないと思います。
私は、こうした时代だからこそ大学がその役割を果たさなければならない、と强く确信しています。広岛大学では、世界の大学生を広岛の地に招く「ピーススタディーツアー」に取り组み、3回目の今年は16カ国から140人が参加しました。文化や価値観の违いを超えて、被爆の実相と教训に触れ、平和について考え议论してほしいと愿っています。
また、8月6日に第4回平和学長会議を広島で、2週間後の8月20日には第9回アフリカ開発会議(TICAD9)の公式関連イベントとして、「GLOBAL INNOVATION 日アフリカ大学シンポジウム ~日アフリカ間の人材育成、科学技術協力の未来を描く~」を横浜で開催しました。今後も「顔の見える国際交流」を通して、持続可能な平和と人類の未来を拓く人材を育成していきたいと考えています。
さて、今日から広岛大学は皆さんの母校です。同窓生の数は、前身校を含めると、25万人以上になりました。150年を超える歴史を有する本学で培った幅広い教养と深い専门性を生かし、母国や地域において「平和を希求し、チャレンジする国际的教养人」として羽ばたいていただきたいと思います。
広岛では今年11月、核兵器と戦争の廃絶を目指す科学者が集うパグウォッシュ会议世界大会が开かれます。パグウォッシュ会议の「生みの亲」ともいえる物理学者のアルベルト?アインシュタイン博士に帰せられる言叶を、皆さんに赠ります。
「想像力は知识よりも大切だ。知识には限界があるが、想像力は世界を包み込み、进歩を促し、进化を生む。厳密に言えば、想像力は科学研究の真の要因なのである」
最后に、広岛大学はこれから新たな一歩を踏み出される皆さんと手を携え、「100年后にも世界で光り辉く大学」を目指して全力で取り组んでいくことをお誓いし、私からの、はなむけの言叶と致します。
令和7(2025)年9月19日
広岛大学长 越智光夫