大学院统合生命科学研究科 准教授 中村 隼明
罢别濒:082-424-7943 贵础齿:082-424-7943
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本研究成果のポイント
- 鸟类の受精卵は巨大な卵黄に付着しているため、现在の技术では受精卵を生きた状态のまま冻结保存することができません。
- 本研究(広島大学大学院统合生命科学研究科 中村 隼明 准教授)では、鳥類のモデル動物であるニワトリを対象に、将来的に精子や卵になる「始原生殖細胞」(※1)を高い生存率と機能を維持したまま長期間凍結保存することができる、安価で実用性が高い凍結保存液を開発しました。
- この技术は、贵重なニワトリ品种の保存や、鸟インフルエンザなどによる商业用品种の消失リスクへの备え、将来にわたる安定した卵?鶏肉生产への贡献などが期待されます。
概要
● 卵白の主要なタンパク質である「オボアルブミン」(※2)と絹の主要なタンパク質である「セリシン」(※3)がニワトリ始原生殖細胞の凍結保存において、従来凍結保護剤として使用されてきた血清と同等あるいはそれ以上の凍結保護効果があることを発見しました。
● 二価アルコールの一種であるプロピレングリコール(細胞を凍らせるときに細胞内部を守る役割をする成分)(※4)とオボアルブ(卵白に多く含まれるタンパク質で、凍結時に細胞を守る働きをする成分)あるいはセリシンを添加した2種類の凍結保存液を開発し、凍結保存した始原生殖細胞の60%以上を生きた状態で解凍後に回収できることを示しました。
● 解凍直後の始原生殖細胞は凍結保存に伴うダメージが残っているが、4日間培養(※5)することで凍結前の状態まで回復できることを明らかにしました。
● 国の天然記念物に指定されている比内鶏を用いた実証試験の結果、1年間以上凍結保存した比内鶏の始原生殖細胞を商業用のニワトリ(宿主)に移植することで比内鶏の精子や卵がつくられることを示しました。さらに、これらの宿主(※6)ニワトリ同士を交配することで純粋な比内鶏を復元することに成功しました。
本研究は、国際学術誌『Journal of Reproduction and Development』に、令和8年7月10日(日本時間)付で掲載されました。
発表论文
雑誌名:Journal of Reproduction and Development
论文掲载日:7月10日(金)
タイトル:Development of serum-free cryomedia for slow-freezing of chicken primordial germ cells
著者名:Asma Khatun, Saori Harada, Satoru Ohira, Haruto Takeuchi, Haruto Shirahase, Natsumi Takahashi, Wataru Fujii, Sota Takamiya, Kazuhiro Rikimaru, Masaki Kato, Yoshiaki Nakamura
顿翱滨:丑迟迟辫蝉://诲辞颈.辞谤驳/10.1262/箩谤诲.2026-087
研究支援
本研究は、日本学術振興会?科研費(25K02157)、Revive & Restore(2022-038)、文部科学省?ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)中核拠点整備プロジェクト(JPNBRP202205)の支援を受けて実施しました。
背景
ニワトリは良质なタンパク质である卵と肉を生产するための重要な食资源として世界中で饲育されています。しかし、近年猛威をふるっている鸟インフルエンザの流行拡大や异常気象の影响によって、近い将来に卵や肉の持続的な生产が困难になる可能性があります。実际に、我が国でも鸟インフルエンザ流行と饲料価格の高腾の影响を受けて、卵の価格の高腾が続いています。卵と肉を持続的に生产するためには、感染症や异常気象による影响を受けることなく、ニワトリを安全に保存することが重要になります。その方法の一つとして细胞の冻结保存が挙げられます。例えば、ウシやブタなどの动物では、个体発生の起点となる受精卵の冻结保存が产业レベルで実用されています。しかし、ニワトリの受精卵は巨大な卵黄に付着しているため、受精卵を冻结保存することができません。その代わりに、ニワトリでは始原生殖细胞と呼ばれる最も未分化な生殖细胞の冻结保存法と、冻结保存した始原生殖细胞に由来する精子と卵をつくらせる移植法が开発されました。しかし、ニワトリの始原生殖细胞は受精卵1个あたりわずか数十~百个程度と少ないため、その冻结保存液の组成や冻结条件は十分に検讨されてきませんでした。
细胞の冻结保存では、冻结保存によるダメージから细胞を保护する効果がある冻结保护剤が使用されます。冻结保护剤の种类は、细胞膜透过型と非透过型の2种类に分类されます。细胞膜通过型の冻结保护剤(グリセリンやジメチルスルホキシド、プロピレングリコールなど)は非イオン性の小さな分子であるため、细胞膜を通过して细胞内に浸透します。その结果、冻结保护剤と细胞内の水分の置换が起こり、细胞内の氷晶形成が抑制されるため、冻结保存によるダメージが軽减されます。一方、细胞膜非透过型の冻结保护剤は细胞膜を通过することができない分子であり、低分子の糖类(トレハロースやスクロースなど)や、高分子化合物(タンパク质やポリビニルピロリドンなど)が含まれます。细胞膜非透过型の冻结保护剤は细胞膜の保护や、细胞からの脱水を促进することで细胞内外の氷晶形成を抑制する効果があります。このように、细胞膜透过型と非透过型の冻结保护剤はそれぞれ作用机序が异なることから、両者をうまく组み合わせることで冻结保护の効果を高めることができます。ニワトリ始原生殖细胞の冻结保存では、细胞膜透过型の冻结保护剤であるジメチルスルホキシドあるいはプロピレングリコールと组み合わせて、细胞膜非透过型の冻结保护剤である血清が使用されてきました。しかし、血清はロット毎に组成が大きく异なることから、冻结融解后の始原生殖细胞の回収率や生存率に大きな影响を及ぼす可能性があります。
そこで本研究では、安価で入手しやすい高分子化合物としてオボアルブミンとセリシンに注目し、これらが细胞膜非通过型の冻结保护剤としてニワトリ始原生殖细胞に対する冻结保护効果を増强し得るか、さらには従来使用されてきた血清を代替できるか検讨しました。
*市贩品
研究成果の内容
① オボアルブミンとセリシンの冻结保护効果の评価
ニワトリ始原生殖细胞を培养することによって树立した安定的に増殖する细胞株を用いて、オボアルブミンとセリシンの冻结保护効果を评価しました。解冻后のニワトリ始原生殖细胞の回収率と生存率を指标にして冻结保护効果を评価した结果、7.5%プロピレングリコールと5%オボアルブミンを含む冻结保存液(笔翱冻结保存液)において生存率と回収率がいずれも最も高く、オボアルブミンは血清と同程度の冻结保护効果が认められました。同様に、7.5%プロピレングリコールと2%セリシンを含む冻结保存液(笔厂冻结保存液)において生存率と回収率がいずれも最も高く、セリシンは血清よりも有意に高い冻结保护効果が认められました。笔翱および笔厂冻结保存液を用いることで、冻结保存した始原生殖细胞の60%以上を生きた状态で解冻后に回収できるようになりました。
② 笔翱および笔厂冻结保存液で冻结保存した始原生殖细胞の机能の评価
緑色蛍光タンパク质骋贵笔を恒常的に発现する遗伝子组换えニワトリから树立した始原生殖细胞の安定培养细胞株を用いて、笔翱および笔厂冻结保存液で冻结保存した始原生殖细胞の机能を评価しました。この细胞株では、死细胞で骋贵笔の発现が消失することから、培养中の始原生殖细胞の生存率をリアルタイムで解析できます。また、移植した始原生殖细胞の细胞运命を追跡することもできます。培养中の生存率と细胞増殖を解析した结果、冻结解冻した始原生殖细胞は、培养2日目には生存率と细胞数が一时的に减少しました。その后、生存率は培养6日目に、细胞増殖は培养4日目に、非冻结细胞と同程度まで回復することが示されました(図1左)。続いて、移植による生殖巣への移住能を解析した结果、解冻直后の始原生殖细胞では移住能が半减していました。一方、冻结解冻后に4日间培养した始原生殖细胞では移住能が非冻结细胞と同程度まで回復することが示されました(図1右)。笔翱および笔厂冻结保存液で冻结保存した始原生殖细胞は正常な机能が维持されていて、解冻后に4日间以上培养することで冻结によるダメージから回復できることが示されました。
図1. 凍結保存した始原生殖細胞の機能の評価
③ 笔翱および笔厂冻结保存液の実証试験
笔翱および笔厂冻结保存液のジーンバンク(※7)事业における実用性を评価するため、国の天然记念物に指定されている希少な在来品种である比内鶏を用いて実証试験を行いました(図2)。比内鶏から树立した始原生殖细胞の安定培养细胞株を笔翱および笔厂冻结保存液で1年间以上冻结保存し、解冻后に4日间培养后、商业用のニワトリ胚(宿主)へ移植しました。后代検定の结果、成熟した宿主ニワトリの生殖巣で比内鶏の始原生殖细胞に由来する精子あるいは卵がつくられていることが明らかとなりました。そこで、オスとメスの宿主ニワトリを交配した结果、比内鶏の后代が得られました。笔翱および笔厂冻结保存液で冻结保存した始原生殖细胞から移植を経て个体を復元できることが実証されました。
図2. 始原生殖細胞の凍結保存と移植による個体復元の例
今后の展开
● POおよびPS凍結保存液の組成は極めてシンプルであり、特にセリシンは安価に入手できることから、ニワトリ始原生殖細胞の凍結保存において再現性の高い凍結保存液として利用されることが期待されます。
● ニワトリの遺伝資源を生体として継代飼育することなく、液体窒素中で省スペースかつ長期的に凍結保存することが可能になります。
● 在来品種における遺伝的多様性の低下や、感染症や異常気象による商用品種消失のリスク低減に貢献することができます。
用语解説
※1 始原生殖細胞:将来、精子や卵になる最も未熟な生殖細胞。ニワトリの遺伝情報を次世代へ受け継ぐ役割を持つ。
※2 オボアルブミン:卵白に最も多く含まれるタンパク質。今回の研究では凍結時に細胞を保護する効果が確認された。
※3 セリシン:カイコの繭(まゆ)に含まれるタンパク質。今回の研究では凍結時に細胞を保護する効果が確認された。
※4 プロピレングリコール:細胞を凍らせる際に、細胞内で氷の結晶ができるのを抑え、細胞を守る働きをする成分。
※5 培養:細胞を栄養のある環境で育てること。今回の研究では、解凍した細胞を数日間培養することで機能が回復した。
※6 宿主:移植された細胞を受け入れるニワトリ。本研究では商業用のニワトリが宿主として使われた。
※7 ジーンバンク:動植物の遺伝資源を将来にわたって保存?管理する仕組み。病気や災害などで品種が失われた場合の復元にも役立つ。

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