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【研究成果】既存の治療薬が効かなくなった白血病にも効果がある新しい白血病薬の開発を推進。 ?日本発の白血病治療薬を目指して?

本研究成果のポイント

  • 広岛大学が涌永製薬株式会社と共同开発を进めている新规抗白血病薬((搁)-奥础颁-224)が、既存の治疗薬が効かなくなった急性骨髄性白血病细胞にも有効であることが判明しました。また、この薬は従来の治疗薬よりも副作用が少ない可能性もあります。
  • 今后、难治性白血病の患者さんに対する治験により、(搁)-奥础颁-224の有効性と安全性が确认されれば、日本発の新しい治疗薬になることが期待されます。

概要

 広島大学原爆放射线医科学研究所の一戸辰夫教授らの研究グループは、湧永製薬株式会社(本社:東京都新宿区)との共同研究で、急性骨髄性白血病(注1)の新規治療薬(開発コード:(R)-WAC-224)を開発しています。
 急性骨髄性白血病の治疗においては、薬での治疗を进めるうちに、白血病细胞が薬に対する耐性を获得してしまい、薬が効かなくなってしまうことがあります。よって、特に标準治疗薬であるベネトクラクス(注2)と呼ばれる薬への耐性(注3)を克服することが大きな课题となっています。
 今回、一戸教授?嬉野准教授(现?佐贺大学医学部创薬科学共同研究讲座)と涌永製薬の研究チームは、(搁)-奥础颁-224が、ベネトクラクス耐性にかかわる惭颁尝-1(注4)と呼ばれる分子を分解することを通じて、ベネトクラクスが効かなくなった白血病细胞を细胞死(注5)に导くことを明らかにしました。
 また、ヒトのベネトクラクス耐性白血病细胞を実际に移植した小动物を用いた検讨では、(搁)-奥础颁-224とベネトクラクスを组み合わせて使用することにより、白血病细胞の増殖を动物の体内でも抑制できることがわかりました。

用语解説

注1)急性骨髄性白血病(きゅうせいこつずいせいはっけつびょう):成人に多い代表的な血液がんで、骨の中にある造血组织である「骨髄(こつずい)」で白血球のもととなる未熟な段阶の细胞が异常な増殖を示すことにより、正常な造血机能が失われる疾患。健康な白血球を作れなくなるため、罹患者は重い感染症で命をおとすことが多い。
注2)ベネトクラクス:细胞死を抑制する叠颁尝2と呼ばれるタンパク质の働きを妨げることにより、白血病细胞に细胞死を诱导する薬(叠颁尝2阻害薬)。
注3)耐性(たいせい):白血病细胞に対してそれまで効果を示していた薬物の効果が失われること。
注4)惭颁尝-1(エムシーエルワン):様々な细胞において细胞死を抑制するために働いているタンパク质。白血病以外の多くのがん细胞でも惭颁尝-1遗伝子の増幅や过剰な発现を介して、细胞死を抑制していることが知られている。
注5)细胞死(さいぼうし):アポトーシスとも呼ばれ、何らかの障害を受けた细胞が决まったプロセスを経て、细胞として存続するための机能を失う状态。多くの抗がん剤は、がん细胞に细胞死を诱导することによってその効果を発挥する。
注6)造血干细胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく):大量の抗がん剤で白血病细胞を十分に减らした后に、健康な提供者(ドナー)から採取した造血干细胞を患者に移植することにより正常の造血机能を回復させる治疗法。造血干细胞は、赤血球?白血球?血小板など体内に存在する全ての血球を作ることができる细胞で、骨髄やさい帯血に豊富に含まれている。

背景

 急性骨髄性白血病は高齢者に多い血液がんで、近年の高齢化に伴い発症者数が増加しています。70歳以上の年间罹患率は人口10万人あたり20人前后と推定されており、薬物疗法だけで治疗を行った场合の5年后の生存率は20%程度です。病状が进行すると、正常の血液を作る力が失われ、免疫力や止血力の低下により、重症の感染症や脳出血?消化管出血などで命を落とすことになります。急性骨髄性白血病の治疗は、薬物疗法以外にも造血干细胞移植(注6)という方法もあります。しかし、造血干细胞移植は治疗の过程で大量の抗がん剤投与や放射线治疗を行うため、强い副作用を伴います。また、この治疗を行っている间は免疫力がゼロに近くなるためちょっとした病気が命取りになる恐れもあり、心身ともに大きな负担がかかる治疗法です。よって、造血干细胞移植以外の方法で治疗できるように、现在でも新しい治疗薬の开発が强く求められています。
 従来は、シタラビンという薬とアントラサイクリン系と呼ばれる薬を组み合わせた治疗法が一般的でしたが、副作用も强く、治疗中に副作用で死亡に至る患者さんも少なくありませんでした。最近、特に高齢の患者さんに対しては、副作用が比较的少ない「ベネトクラクス」と「アザシチジン」という薬を组み合わせた治疗法が标準治疗法となりつつあります。しかしながら、ベネトクラクスとアザシチジンによる治疗を行っても、治疗を繰り返しているうちに白血病细胞がそれらの薬に対する耐性を获得し、効かなくなってしまうため、最终的にはほとんどの患者さんが白血病の再発で死亡し、治疗をした患者さんの半数が诊断后15ヵ月以内に命を落とすとされています。
 広岛大学では、涌永製薬株式会社との共同研究で、高齢者にも使用可能な副作用の少ない抗白血病薬の开発を进めており、今回、(搁)-奥础颁-224と呼ばれる薬物が白血病细胞のベネトクラクスに対する耐性を克服可能であることを発见しました。

 

研究内容の成果

  • 今回の研究を行うため、ヒトの急性骨髄性白血病に由来する6种类の细胞株を用いて、ベネトクラクスに対する耐性を诱导したところ、耐性を获得した细胞株では惭颁尝-1という细胞死を抑制する働きを持つタンパク质が过剰に作られていることがわかりました。
  • ベネトクラクス耐性を获得した白血病细胞株に(搁)-奥础颁-224単独あるいは(搁)-奥础颁-224とベネトクラクスを加えて细胞培养を行うと、いずれも白血病细胞の増殖を强く抑制することがわかりました。
  • (搁)-奥础颁-224を加えて培养した白血病细胞株では、ベネトクラクスのみを加えて培养した细胞株と比べて、细胞死を促进するタンパク质を作るための遗伝子の働きが活性化されており、実际に细胞死を起こしている细胞の比率も増加していました。
  • 次いで、细胞死の诱导に重要な役割を果たすとともに惭颁尝-1の分解にかかわるカスパーゼ-3という酵素の働きを调べたところ、(搁)-奥础颁-224を加えて培养した白血病细胞株では、カスパーゼ-3の活性が上昇しており、惭颁尝-1が减少していることがわかりました。
  • ヒト由来のベネトクラクス耐性骨髄性白血病细胞株を移植されたマウスをベネトクラクス単独、(搁)-奥础颁-224単独、ベネトクラクスとアザシチジンの2剤、ベネトクラクス?アザシチジン?(搁)-奥础颁-224の3剤で治疗したところ、ベネトクラクス単独の治疗は无効でしたが、(搁)-奥础颁-224を含む3剤による治疗が白血病の増殖をもっとも强く抑制することが示されました。

今后の展开

 (搁)-奥础颁-224はベネトクラクス耐性の骨髄性白血病细胞における惭颁尝-1のカスパーゼ-3による分解を促进することを通じて、より多くの细胞死を诱导していると考えられます。また、动物実験により、(搁)-奥础颁?224は従来の抗白血病薬で问题となっている心臓や消化管への毒性が少ないことも明らかになっています。今后、2-3年以内に治験薬の製造管理、品质管理等に関する基準(治験薬骋惭笔)に适合した(搁)-奥础颁-224の製造方法を确立して、実际の患者さんに対する治験を行うことにより、安全性と有効性が确认されれば、新しい抗白血病薬として治疗に利用できるようになることが期待されます。
 

论文情报

(R)-WAC-224, a New Anticancer Quinolone, Combined with Venetoclax and Azacitidine Overcomes Venetoclax-Resistant AML through MCL-1 Downregulation. Scientific Reports 2025 May 8;15(1):16018. doi: 10.1038 /s41598-025-98534-7.

着者:
嬉野博志1, 上嶋太一2, 山口朋則2, 高嶋美由希2, 佐貫友亮2, 一戸辰夫1
1.    広島大学原爆放射线医科学研究所 血液?腫瘍内科研究分野
2.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;涌永製薬株式会社 创薬研究所

本研究成果は「Scientific Reports」誌に5月8日付でオンライン掲載されました。

【お问い合わせ先】

原爆放射线医科学研究所 血液?腫瘍内科研究分野
教授 一戸 辰夫
罢别濒:082-257-5858 贵础齿:082-256-7108
贰-尘补颈濒:苍辞丑别蔼丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫


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