大学院先进理工系科学研究科 理工学融合プログラム(開発科学分野)
久野 真純 助教
罢别濒:082-424-6905 贵础齿:082-424-6904
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本研究成果のポイント
- 水田やハス田では、防风林※1の近くでオオヨシキリやホオジロなど林や藪を好む鸟やムクドリは増える一方、ヒバリやケリのような开けた环境を必要とする草原?湿地性鸟类は栖みにくくなります。これは、防风林があることでその林の中にキツネや猛禽类などの捕食者が身を隠しやすくなるため、などが考えられます。
- 草原性鸟类は、防风林に隣接する地点では、防风林から约1办尘离れた开放的な环境に比べて、个体数が约70%少ないことが分かりました。
- 本研究は、防风林を一律に増やすよりも、草原?湿地性鸟类が利用する开放的な农业湿地※2环境を途切れずに残すよう配置?管理する方が、农地全体の生物多様性の维持に有効であることを示しています。
概要
広島大学大学院先进理工系科学研究科の久野真純助教らは、農業湿地景観における防風林が鳥類群集※3に与える影響を明らかにしました。石川県河北潟周辺の農業湿地で調査した結果、防風林の周辺ではシジュウカラやコゲラを含む林の縁を好む鳥の種類や数が増える一方で、ヒバリなど草原性の鳥の数や、ケリなどのチドリ類、サギ類、カモ類など湿地性の鳥の種類が減少することが分かりました。
特に草原性鸟类(ヒバリとキジ)では、防风林に隣接する地点で个体数が大きく减り、开放环境と比べて约70%少ないことが明らかになりました(図1)。本研究は、防风林を一様に増やすだけでは农地全体の生物多様性の向上につながらない场合があることが示されました。今后は、开放的な环境が连続するよう防风林の配置や管理を工夫することがだと考えられます。
本研究成果は、2026年1月15日に、国際学術誌「Journal of Environmental Management」にオンライン掲載されました。
また、本研究は広岛大学から论文掲载料の助成を受けています。
论文情报
掲載雑誌:Journal of Environmental Management
論文題目:Shelterbelts support edge birds but limit grassland and wetland specialists in agricultural landscape
著者: K久野真純?出口翔大?Wenhuan Xu?Xike Xiao?Keinosuke Sannoh?Xinli Chen?本村健
DOI: https://doi.org/10.1016/j.jenvman.2026.128583
図1:草原性の鳥の個体数と防風林までの距離の関係性を表したグラフ(Hisano et al. 2026を元に改変)
背景
&苍产蝉辫; 农业集约化に伴う生息地の単纯化は、世界的に农地鸟类の减少を引き起こしてきました。これに対応するため、各国の农业环境计画では、防风林や生け垣林などの农地树林帯を维持?植栽することが推奨され、林縁性※4や森林性の鸟类を支える有効な手段と考えられてきました。一方で、こうした直线状の树林帯は、草原性?湿地性鸟类にとって生息地を分断し、树林帯を利用する猛禽类などに捕食される危険を高める可能性が指摘されています。
これまで、北米ヨーロッパの草原?畑地景観では、防风林や树林帯が鸟类群集に与える影响が研究されてきましたが、アジア?モンスーン気候帯に広がる水田やハス田などの农业湿地景観では、その影响はほとんど検証されていませんでした。农业湿地は、自然湿地が减少した地域において、多くの湿地性?开放环境性鸟类にとって重要な代替生息地となっており、渡り鸟の中継地としても重要な役割を果たしています。そのため、农业湿地における防风林の効果を理解することは、生物多様性保全と农地管理の両立を考えるうえで重要な课题です。
研究成果の内容
&苍产蝉辫; 本研究では、石川県河北潟周辺の农业湿地景観(水田?ハス田)を対象に、防风林の有无や距离が鸟类群集に与える影响を调べました。その结果、防风林は藪?林縁性鸟类の种数や个体数を増加させる一方で、草原性および湿地性スペシャリストの生息を制限することが明らかになりました。とくに草原性鸟类では、防风林に隣接する地点で个体数が着しく低下し、防风林から约1办尘离れた开放环境と比べて约70%少ないことが示されました。
これらの结果は、防风林が林縁性鸟类にとっては営巣や隠れ场所として机能する一方で、见通しの良い开放环境を必要とする地上営巣种にとっては、生息地の缩小や捕食リスクの増加をもたらす可能性を示しています。防风林は鸟类の多様性を一様に高めるのではなく、鸟类群集の构成そのものを変化させる要因であることが明らかになりました。
石川県河北潟のハス田に隣接して设けられた防风林の例。农地の风害対策として设置された防风林は、林や藪を利用する鸟类のすみかになる一方で、広く见通しのよい环境を必要とする鸟类にとっては、生息地利用の妨げの要因となることがある。
撮影:久野真纯
防風林の影響を受けやすいと考えられる湿地性の鳥ケリ(左)と、草原性の鳥ヒバリ(右)。いずれも日本各地の水田で見られる種だが、本研究により、防風林に近い環境では生息地として利用しにくくなる可能性が示された。撮影:久野真纯
期待される成果
本研究は、防風林や農地樹林帯の効果を、特定の種だけでなく鳥類群集全体の視点から評価し、農業湿地景観における管理上のトレードオフ※5を明確に示した点に特徴があります。これにより、防風林を含む農地樹林帯の維持?植栽がすべての鳥類にとって一様に有益であるという前提 (Hinsley and Bellamy 2000, Heath et al. 2017) を見直す科学的根拠を提供しました。
本研究成果は、农业环境计画や土地利用计画において、防风林を「増やすべき要素」として一律に扱うのではなく、どこに、どの程度配置するかを検讨する必要性を示しています。とくに、草原性?湿地性スペシャリスト※6や地上営巣种が生息する农业湿地では、开放环境の连続性を确保することが、生物多様性の维持にとって重要であることが示唆されました。
さらに、水田やハス田などの农业湿地が、自然湿地の减少が进む地域において、渡り鸟や湿地性鸟类の重要な代替生息地となっている点を踏まえると、防风林の配置や规模を适切に设计することで、林縁性鸟类を支えつつ、国际的に减少倾向にある湿地性?草原性鸟类の生息地机能を损なわない农地管理が可能になると期待されます。これらの知见は、日本国内にとどまらず、アジア?モンスーン気候帯を中心とした世界の农业湿地において、持続的な农业と生物多様性保全を両立させる景観管理の指针として活用されることが期待されます。
今后の展开
本研究は、防风林の一律的な拡大が必ずしも农地生物多様性の向上につながらないことを示しました。今后は、防风林の配置や间隔、规模といった设计要素が、鸟类や捕食者の行动にどのように影响するかを、より详细に検証する必要があります。また、季节や土地利用の违いを踏まえ、农业湿地全体の中でどの程度の开放环境を维持すべきかを明らかにすることが重要です。将来的には、防风林と开放环境を适切に组み合わせた景観设计指针を提示することで、农业生产と生物多様性保全を両立させる农地管理の実现に贡献することを目指します。
用语解説
※1防风林:农地の风害防止を目的として植えられた直线状の树木帯。农业生产を支える一方で、鸟类にとっては林縁环境や移动経路として机能することがある。
※2农业湿地:水田やハス田など、人為的に管理されているが、水域や湿地环境の性质を持つ农地。自然湿地が减少した地域では、多くの湿地性生物の代替生息地となっている。
※3鸟类群集:同じ地域に生息する复数の鸟类种からなる集まり。
※4林縁性鸟类:森林と开放环境の境界(林縁)を主な生息场所として利用する鸟类。藪や树木を隠れ场所や営巣场所として利用する种が多い。
※5トレードオフ:ある対策によって得られる利益と、同时に生じる不利益の関係。本研究では、防风林が林縁性鸟类を支える一方で、草原?湿地性鸟类の生息を制限する関係を指す。
※6草原性?湿地性スペシャリスト:草原や湿地などの开放的な环境に特化して生息する鸟类。见通しの良い环境を好み、地上で営巣する种も多い。
その他
本研究に取り组むきっかけは、これまでイギリスやアイルランド、ブルガリア、スイスなど、ヨーロッパを访れた际に目にした农业景観にあります。ヨーロッパの农地には、畑や草地の境界にヘッジロー(生け垣林)が设けられており、日本の农村风景とは大きく异なる印象を受けました。农地の中に、周囲とは明瞭に异なる「緑の线」が连続している景観が、强く心に残りました。
一方で、日本の农地では、水田など広く开けた空间が人工湿地として机能しており、ヒバリやケリなど、见通しの良い环境を好む鸟たちが利用しています。こうした违いを実际に现地で见比べるなかで、「ヨーロッパで良いとされている农地での植栽が、日本の农地でも同じように良い结果をもたらすのだろうか」という疑问を抱くようになりました。とくに、共同研究者の出口翔大博士(福井市自然史博物馆)と议论を重ねるなかで、ヘッジローや防风林のような线状の树木构造は、林縁性の鸟类には居场所を提供する一方で、开放环境を必要とする鸟类にとっては、かえって生息しにくい环境をつくっているのではないか、という考えに至りました。この疑问が、本研究を进める原动力となりました。
本研究は、狈笔翱法人河北潟湖沼研究所(河北潟研究奨励助成)、日本学术振兴会(科研费?若手研究:21碍17912)および広岛大学スタートアップ経费による支援を受けて実施されました。
参考
Heath, S. K., C. U. Soykan, K. L. Velas, R. Kelsey, and S. M. Kross. 2017. A bustle in the
hedgerow: Woody field margins boost on farm avian diversity and abundance in an intensive agricultural landscape. Biological Conservation 212:153-161.
Hinsley, S. A., and P. E. Bellamy. 2000. The influence of hedge structure, management and landscape context on the value of hedgerows to birds: a review. Journal of Environmental Management 60:33-49.

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