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【研究成果】ビタミン「ビオチン」を細胞へ迅速?効率的に届ける新手法を開発 ~バイオテクノロジー技術の改良や遺伝性代謝異常症治療への応用に期待~

本研究成果のポイント

  • 皮肤や髪の健康を保ち、体のエネルギーづくりにも関わるビタミンの一种「ビオチン(※1)」を、细胞の中により速く、効率的に届ける方法を开発しました。
  • 细胞膜を素早く通过できる新しいビオチン诱导体を用いることで、细胞内のビオチン量を短时间で増やし、ビオチンを用いるさまざまなバイオテクノロジー技术を改良できることが分かりました。
  • ビオチンを利用するバイオ技术の改良や、マルチビタミン反応性遗伝性代谢异常症(※2)の新しい治疗法につながる可能性があります。

概要

 広島大学大学院统合生命科学研究科の佐藤明子 教授、理化学研究所光量子工学研究センターの中野明彦 客員主管研究員、戸島拓郎 上級研究員らは、ビオチンを細胞に入りやすい形に改良したビオチン誘導体 (ビオチンメチルエステル: BME)(※5)を用いることで細胞内への迅速なビオチンの誘導に成功しました。
 私達が生きるために必須なビタミンの一種である「ビオチン」は、卵白に含まれる「アビジン(※3)」と呼ばれるタンパク質と強く結合する性質を持つため、現在、さまざまなバイオテクノロジー技術に用いられています。ビオチンはナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター (SMVT)(※4) と呼ばれるタンパク質の働きで細胞内に取り込まれます。しかし、私達は多くの細胞でSMVTによるビオチン取り込みに時間がかるため、生細胞内へのビオチン投与を必要とするバイオテクノロジー技術が迅速に機能しないことを発見しました。
 さらに、BMEは細胞内でビオチンへと急速に加水分解(化学反応によって物質が水の働きで分解され、元の成分に戻る反応)され、細胞内のビオチン濃度を迅速に上昇させることで、バイオテクノロジー技術を改良できることを発見しました。また、最近の研究から、SMVTの欠損が、マルチビタミン反応性遺伝性代謝異常症(multivitamin-responsive inherited metabolic disorder)を引き起こすことが分かってきました。私達の研究成果は、BMEがビオチンのプロドラッグ(※6)として機能することを示しており、マルチビタミン反応性遺伝性代謝異常症の患者さんへのビオチン供給を促進する可能性があり、治療への応用が考えられます。

论文情报

掲載雑誌名: Communications Biology 
論文名: Biotin methyl ester enhances cargo release in RUSH system and enables rapid biotinylation with TurboID
著者名: Uehara T1#, Takiguchi A1#, Tojima T2, Nakano A2, 3, Kagawa S1, Nehira T1, Satoh T1, Satoh AK1,*. 
所属:1)広島大学大学院 统合生命科学研究科 
  2)理化学研究所 光量子工学研究センター 
生细胞超解像イメージング研究チーム(研究当时、现画像情报処理研究チームの所属)
3)東京科学大学 総合研究院高等研究府    
  # 共筆頭著者:上原 大政?瀧口 新
*    責任著者:佐藤 明子

DOI: 10.1038/s42003-025-09176-4.
掲載日時: 2025年12月16日

背景

 ビオチンは私達が生きるために必須なビタミンの一種です。私達は自身でビオチンを合成することはできないため、ビオチンを食事により取り入れる必要があります。ビオチンの細胞内への取り込みは、細胞膜に存在するナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター (SMVT) が行っています。
 ビオチンはアビジンと强い结合を示すことから、ビオチン?アビジン结合性を利用したさまざまなバイオテクノロジー技术が発达しています。さらに、近年、近位依存性ビオチン化酵素(※7)を用いたタンパク质相互作用の网罗的解析(近位依存性ビオチン标识法(※8))が活発に进められています。生きた细胞でこれらの技术を用いる场合には、细胞培养液へのビオチン投与で十分であると考えられてきました。
 細胞内における物質輸送(膜交通)の研究分野では、ビオチン投与によりタンパク質輸送を開始できる同調的輸送開始実験法 (Retention Using Selective Hook 法: RUSH) 法(※9)が汎用されています。しかし、私達は、RUSH法において、ビオチン投与後すぐには輸送開始しない細胞が多いことを報告していました (Tago et al., EMBO repo, 2025)( /news/87904)。今回、私達は、この理由がビオチンの細胞内取り込みが迅速ではないからではないかと考え、実験を行いました。

研究成果の内容

 本研究では、ビオチンの膜透過性を向上させる目的で、ビオチンのカルボキシ基を保護したビオチン誘導体 (ビオチンメチルエステル: BME) を用いてRUSH法においてタンパク質輸送が迅速に開始するかを評価しました。その結果、RUSH法において推奨されている40μMにおいてビオチンが十分な輸送開始を引き起こせないのに対して、BMEでは、その20分の1の濃度である2μMの投与でもタンパク質輸送が迅速に開始することを示しました。また、BMEの細胞内への取り込みはSMVTの阻害剤では阻害されず、BMEが直接細胞膜を透過することが強く示唆されました。
 さらに、叠惭贰が近位依存性ビオチン化酵素によるビオチン化の速度も上昇させることを発见しました。ビオチン化酵素は叠惭贰を直接基质として利用できないことから、この结果は叠惭贰が细胞内で急速に加水分解されることを强く示唆しています。また、细胞内の核?细胞质ゾル?小胞体内腔のいずれの领域においても、叠惭贰投与が近位依存性ビオチン化酵素によるビオチン化を活性化することを示しました。これらの结果から、叠惭贰がビオチンを用いるバイオテクノロジー技术を大きく改良できると结论しました。

今后の展开

 本研究が示した「叠惭贰による细胞内への迅速なビオチン供给」は、ビオチンを利用するさまざまなバイオテクノロジー技术全般に普及するものと考えられます。
 また、ビオチンは私達が生きるために必須なビタミンの一種です。私達は自身でビオチンを合成することができないため、ビオチンを食事により摂取し、細胞内に取り込んでいます。最近の研究から、ビオチンの細胞内への取り込みに必要なSMVTの欠損が、マルチビタミン反応性遺伝性代謝異常症(multivitamin-responsive inherited metabolic disorder)を引き起こすことが分かってきました。BMEはビオチンのプロドラッグ(体内で活性成分に変化して働く薬)として機能することから、代謝マルチビタミン反応性遺伝性代謝異常症を含むビオチン代謝異常症の患者へビオチン供給を簡単に行うことができる可能性があり、治療への応用が考えられます。

参考资料

図 ビオチンメチルエステル (BME)による細胞内への迅速なビオチン供給と応用
叠惭贰はビオチンのカルボキシル基がメチル化された、电荷を持たない小分子であり、容易に细胞膜を通过する。小胞体内腔において、カルボキシルエステラーゼの働きで加水分解されてビオチンとなる。小胞体膜は电荷を持った小分子も容易に通すため、叠惭贰投与により细胞质ゾル?核?小胞体のいずれの领域にもビオチンを迅速に供给でき、バイオテクノロジー技术を改良できる。さらにビオチン代谢异常症の治疗に役立つ可能性がある。

用语解説

(※1)ビオチン
ビタミン叠群の一种であり、エネルギー代谢や皮肤?粘膜?髪?爪の健康维持に重要な役割を果たす水溶性ビタミン。体内で糖质、アミノ酸、脂质の代谢を助ける补酵素として働く。

(※2) マルチビタミン反応性遺伝性代謝異常症
厂惭痴罢の欠损によって引き起こされる先天性代谢异常症の1つであり、最近同定された疾患。ビオチンがカルボキシラーゼの补酵素であるため、患者はマルチプルカルボキシラーゼ欠损症と呼ばれる病态を含む多様な症状を示す。
(※3)アビジン
卵白に存在する糖タンパク质で、ビタミンであるビオチンと非常に强く结合する性质を持ちます。この强力な结合を利用して、生命科学分野では、様々なバイオテクノロジー技术に利用されています。

(※4) ナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター (SMVT)
ビオチン?パントテン酸?リボ酸塩の细胞内への取り込みに机能する细胞膜タンパク质。浓度勾配に従ってナトリウムを细胞内に取り込むときにこれらのビタミンを同时に输送するシンポーター。

(※5) ビオチンメチルエステル (BME)
ビオチンのカルボキシル基がメチル基とエステル结合したビオチン诱导体。电荷を持たない小分子であり、カルボキシルエステラーゼにより分解される。

(※6) プロドラッグ
机能分子(ドラッグ)のカルボキシ基がエステル化された分子。电荷を持たないため迅速に细胞膜を透过する。细胞内に入るとカルボキシルエステラーゼにより加水分解され、活性を持つドラッグとして机能する。

(※7) 近位依存性ビオチン化酵素
大腸菌ビオチンリガーゼ酵素BirA に変異を導入し、中間体のbiotinyl-5’-AMP が酵素から遊離し,近傍のタンパク質のリジン残基にビオチンを付加するように改変した酵素BirA* (BioID) やそれを改良したもの等。活性を高めたTurboID, AirID などがよく利用される。

(※8) 近位依存性ビオチン標識法
以下の一连の操作により、相互作用ネットワークを解析する手法。相互作用ネットワークを知りたいタンパク质に、近位依存性ビオチン化酵素を融合して発现させる。细胞にビオチンを投与することで、兴味あるタンパク质近傍に存在するタンパク质を网罗的にビオチン化する。ビオチン化タンパク质をアビジンカラムで精製し质量分析机で解析することで相互作用ネットワークを明らかにできる。

(※9) 同調的輸送開始実験法 (Retention Using Selective Hook法: RUSH法)
膜交通分野で汎用されるタンパク质输送を同调的に开始させる手法。ビオチン投与によりタンパク质がアビジンから游离して输送を开始する。

【お问い合わせ先】

〈研究に関すること〉
広島大学大学院统合生命科学研究科 佐藤 明子 教授
罢贰尝:082-424-6507 贵础齿:082-424-0759
贰-尘补颈濒:补办蝉补迟辞丑蔼丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

〈広报?报道に関すること〉
広島大学 広報室
罢贰尝:082-424-6762
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理化学研究所 広报部 报道担当
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