(研究に関すること)
広岛大学 大学院医系科学研究科 生理机能情报科学
准教授 宫﨑 充功
罢别濒:082-257-5435
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(报道に関すること)
広岛大学 広报室
罢别濒:082-424-4383
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冬眠动物は、极端な体温低下と长期间の不活动を経験するにもかかわらず、筋肉の衰えを惊くほど防いでいます。本研究では、冬眠动物の“筋肉が衰えない仕组み”の一端が、「组织干细胞を生かしたまま、再生を抑える」というエネルギー节约戦略にある可能性を示しました。
●ハムスターやクマなどの冬眠动物では、骨格筋の干细胞(サテライト细胞)が极端な低温下でも死なずに生存できることを発见
●その低温耐性机构は、フェロトーシス(鉄依存性细胞死)を抑える细胞内の抗酸化システムにより成立
●しかし生存した细胞は、筋形成に必要な「活性化?分化」プログラムを意図的に抑制しており、増殖能力が低温下では大きく低下
●実际にハムスターでの筋损伤モデルでも、冬眠中は筋再生が着しく遅延
●冬眠动物は「细胞死は防ぐが、エネルギー消费の大きい炎症?再生反応は抑える」という、エネルギー节约型の“冬眠モード”を干细胞レベルで备えていることが明らかに
広島大学大学院 医系科学研究科 生理機能情報科学の宮﨑充功准教授らの研究グループは、福山大学薬学部?渡邊准教授、北海道大学大学院獣医学研究院?下鶴准教授、北里大学理学部?塚本助教、北海道大学低温科学研究所?山口教授らとの共同研究により、冬眠する哺乳類が、極端な低温環境でも筋肉の幹細胞(サテライト細胞)を死なせず保持する一方、筋形成に関わる遺伝子群の働きを大幅に抑制し、あえて再生を遅らせる仕組みを解明しました。
本研究成果は、米国実験生物学会連合の学術誌The FASEB Journal に掲載されました。
また、本研究成果は広岛大学から论文掲载料の助成を受けています。
●掲載雑誌: The FASEB Journal, 2025; 39:e71297
●URL: https://doi.org/10.1096/fj.202502651R
●題目: Cold-induced suppression of myogenesis in skeletal muscle stem cells contributes to delayed muscle regeneration during hibernation
●著者: Tatsuya Miyaji, Ryuichi Kasuya, Mayuko Monden, Yutaka Tamura, Michito Shimozuru, Toshio Tsubota, Daisuke Tsukamoto, Guangyuan Li, Shota Kawano, Yuri Watanabe, Yoshifumi Yamaguchi, Masatomo Watanabe, and Mitsunori Miyazaki* *Corresponding author (責任著者)
●doi: 10.1096/fj.202502651R
一般に、骨格筋は长期间使われないと萎缩し、筋肉を形成するための干细胞の働きも弱まるため、冬眠によりほとんど动かない期间が続くと、通常なら筋肉が衰えると考えられます。しかし冬眠动物では、数か月におよぶ极度の不活动と低体温にもかかわらず、筋肉量がほとんど失われません。この理由はこれまでも研究されてきましたが、明确な答えは出ていませんでした。
本研究は、冬眠动物の筋肉が衰えない背景に「细胞死を防ぎながら再生は抑制する」という、冬眠期特有のエネルギー节约戦略が存在することを、世界で初めて干细胞レベルで示しました。
1.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;冬眠动物の筋干细胞は、极端な低温ストレス下でも死なない
研究チームはまず、冬眠动物のサテライト细胞※1が低温ストレスに対して着しい抵抗性を示すことを発见しました。冬眠する动物(シリアンハムスター、シマリス、ツキノワグマ等)と冬眠しない动物(マウス、ラット等)の细胞をそれぞれ4℃の低温に24~48时间さらしたところ、冬眠しない动物の细胞は大半が死灭するのに対し、冬眠する哺乳类の筋肉から得た细胞はほぼ死なずに生存しました。解析の结果、冬眠动物の细胞では、鉄依存性细胞死(フェロトーシス)※2を抑える抗酸化システムが成立しており、これが极端な低温下でも细胞死を防ぐ键であることが分かりました。
図1|冬眠动物の筋干细胞は极端な低温下でも死なずに生き残る
マウスやラットなど冬眠しない动物では、4℃の低温にさらすと筋干细胞の多くが死んでしまいます(赤色:死んだ细胞)。一方、シリアンハムスター、シマリス、ツキノワグマといった冬眠动物では、同じ低温条件でも细胞がほとんど死なずに生き残ります。右下のグラフは、低温条件下における48时间后の细胞死の割合を示しており、冬眠动物の细胞が「细胞レベルで寒さに强い」ことが分かります。
2. 低温下で生存した筋幹細胞は「活性化できない = 筋再生スイッチが切られる」
さらに、低温環境を生き延びた細胞のふるまいを詳しく調べたところ、筋肉の形成に必要な MyoD※3 や Myogenin※4 などの遺伝子群が大きく抑制されており、筋肉の組織幹細胞が“生存するが再生は遅らせる”という特殊な待機状態にあることが明らかになりました。これは、冬眠動物のサテライト細胞が、低温ストレス下では再生スイッチを積極的にオフにすることで、状態を維持していることを示しています。
図2|低温にさらされたハムスター筋干细胞では、筋形成に関わる遗伝子だけがまとまって弱まる
左図は、ハムスターの筋幹細胞を4℃に冷却した際の遺伝子発現を網羅的に解析した結果です。緑色の点は、発現量が統計学的に有意に“減少した”遺伝子を示し、逆に“増加した”遺伝子は1つも見られませんでした。右図は、それら発現が減少した遺伝子の特徴を調べたGene Ontology※5解析の結果で、筋肉の形成や構造維持に関わる遺伝子群が特に大きく抑制されていることが分かります。これらの結果は、低温下で生存した細胞が、筋形成?再生を開始するための遺伝子プログラムを意図的に落としていることを示しています。
3. 冬眠期のハムスターでは、実際に筋再生が遅延
冬眠期間のハムスターは、体温を周期的に大きく下げる「深冬眠」※6と体温が常温に戻る「中途覚醒」※7を繰り返します。この状態で筋肉が傷つくと、通常であれば見られるはずの再生マーカー eMyHC※8 の発現がほとんど確認されず(下図右下)、再生途中の小さな筋線維も形成されません(右上)。さらに、再生の初期に重要なサテライト細胞の活性化や免疫細胞(マクロファージ※9)の浸潤も大幅に抑えられていました。これらの結果は、冬眠中の生体がエネルギーを節約するため、炎症反応や再生反応といった代謝負荷の高いプロセスを意図的に遅らせている、つまり、省エネモードに入っていることを示しています。
図3|冬眠中のハムスターでは筋再生がほとんど进まない
冬眠期のハムスターは体温低下(深冬眠)と復温(中途覚醒)を繰り返します。この状態で筋損傷を起こすと、再生マーカー eMyHC の発現がほとんど見られず、サテライト細胞の活性化や免疫細胞の浸潤も弱く、筋再生が大きく遅れることが分かります。
本研究は、冬眠动物が「筋肉の干细胞を死なせずに保持しつつ、再生は适温に戻るまで待机させる」という高度な省エネ戦略を备えていることを明らかにした点で重要です。これらの知见は将来的に、臓器や细胞の低温保存技术の高度化、长期不活动に伴う筋萎缩予防、さらには人工的な冬眠?低代谢医疗の开発など、ヒト医疗への応用可能性を広げるものと期待されます。
现在、冬眠中に生じる筋再生抑制がどのような分子机构で制御されているのか、特にエピジェネティクスや神経—筋连関などの侧面はいまだ明らかになっていません。研究チームは今后、これらの分子机构の解明を进め、冬眠状态を人工的に诱导?制御しうる基盘的知见の确立を目指しています。
※1 サテライト細胞(筋幹細胞)
骨格筋に存在する「筋肉の干细胞」。普段は休んでいるが、运动やけがが起こると活性化し、筋肉を修復?再生する役割を持つ。
※2 フェロトーシス(鉄依存性細胞死)
细胞内の鉄が引き起こす「脂质の酸化」により生じる特殊な细胞死の一种。低温ストレスによる细胞死はフェロトーシスを介して起こる。
※3 MyoD(マイオディー)
筋干细胞が「筋形成?筋再生を始める」ときにスイッチとなる転写因子。活性化すると筋肉に分化する方向へ进む。低温では発现が抑えられる。
※4 Myogenin(マイオジェニン)
筋干细胞が筋细胞として成熟していく过程で重要となる転写因子。筋再生の“后半”を进める役割がある。
※5 Gene Ontology(遺伝子オントロジー解析)
膨大な遗伝子の机能を「どんな役割をしているか」で分类し、特定の条件下でどの机能の遗伝子が変化したかを调べる手法。
※6 深冬眠(Deep Torpor)
小型の冬眠动物が体温を大きく下げ、代谢を极端に落とした状态。体温が数℃まで下がることもある。クマなど大型の冬眠动物の场合、代谢低下は认められるものの、小型动物ほどの极端な体温低下は起こらない。
※7 中途覚醒(Interbout Arousal)
冬眠中に体温が一时的に正常レベルまで戻る短い覚醒期。小型の冬眠动物はこの「深冬眠」と「中途覚醒」を繰り返す。
※8 eMyHC(embryonic Myosin Heavy Chain)
再生途中の新しい筋线维に発现する「再生マーカー」。筋损伤后に通常であれば増えるが、冬眠期はほぼ発现しない。
※9 マクロファージ
筋损伤の修復に重要な免疫细胞。壊れた筋细胞を処理し、筋干细胞の活性化をサポートする。冬眠期は浸润が强く抑制される。
(研究に関すること)
広岛大学 大学院医系科学研究科 生理机能情报科学
准教授 宫﨑 充功
罢别濒:082-257-5435
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(报道に関すること)
広岛大学 広报室
罢别濒:082-424-4383
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掲載日 : 2025年12月22日
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