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【研究成果】銅酸化物の高温超伝導体で特殊な電子状態「ノード金属」を発見 ~三層構造が高い超伝導を実現する仕組みの解明へ~

【本研究のポイント】

  • 铜酸化物高温超伝导体で、世界で初めて「ノード金属」と呼ばれる特殊な电子状态を観测。
  • 超伝导転移温度を大きく超える高温でも超伝导电子が存在することを発见し、それが「ノード金属」をもたらしていることを提唱。
  • 叁层构造が最も高い転移温度を示す理由を「ノード金属」に基づいて解明し、室温超伝导の物质设计に重要な指针を提示。
     

【概要】

 広岛大学放射光科学研究所准教授の出田真一郎、同大学技术専门职员の有田将司、京都大学大学院人间?环境学研究科教授の吉田鉄平、东京大学大学院理学系研究科名誉教授の藤森淳、内田慎一、同大学低温科学研究センター助教の藤井武则、弘前大学大学院理工学研究科教授の渡辺孝夫(研究当时)、同大学博士课程学生の足立伸太郎(研究当时、现职京都先端科学大学工学部讲师)、自然科学研究机构分子科学研究所/総合研究大学院大学准教授の田中清尚、产业技术総合研究所主任研究员の石田茂之、东北大学大学院工学研究科助教の野地尚(研究当时)らと、台湾国立清华大学、米国スタンフォード大学の国际共同研究チームは、铜酸化物高温超伝导体(*1)のなかで颁耻翱2面 (*2) を3枚もつ三層系銅酸化物の電子状態を詳細に調べ、超伝導転移温度 (Tc)を越える温度領域で、「ノード金属」(*3)と呼ばれる特殊な金属状態を世界で初めて観測しました。
 当研究グループは、放射光を用いた高分解能の角度分解光电子分光(*4)により、ノード金属状态のキャリア浓度依存性を明らかにしました。その结果、キャリア量が非常に少ない颁耻翱2面でも、罢肠よりはるかに高い温度から超伝导电子が存在することを発见しました。さらに、超伝导を特徴づけるエネルギーギャップが従来の高温超伝导体よりも着しく大きいことがわかりました。これは、外侧2枚と内侧1枚の颁耻翱2面の间で生じる「近接効果」(*5)により超伝导が安定化されたことを示しています。叁层系が最大のTcを示す机构を明らかにした本研究成果は、高温超伝导の起源の解明に贡献するとともに、室温超伝导に向けた高いTcを示す物质设计の指针になることが期待されます。
 本研究成果は「Nature Communications」において2025年10月27日付(イギリス時間)でオンライン掲載されました。本研究は科学研究費事業(課題番号:20H01861、22K03535、23K20229、24K06961、25400349)、台湾国家科学及技術委員会、教育省、米国エネルギー省による支援を受け、広岛大学放射光科学研究所共同研究委員会により採択された研究課題(課題番号:22AG006、23BG011)、および、分子科学研究所により採択された研究課題(課題番号:29-549, 31-572, 31-861)のもとで実施されました。
 

【论文情报】

〈雑誌〉Nature Communications(Q1)
〈題名〉Proximity-Induced Nodal Metal in an Extremely Underdoped CuO2 Plane in Triple-layer Cuprates
〈著者〉Shin-ichiro Ideta*, Shintaro Adachi, Takashi Noji, Shunpei Yamaguchi, Nae Sasaki, Shigeyuki Ishida, Shin-ichi Uchida, Takenori Fujii, Takao Watanabe, Wen O. Wang, Brian Moritz, Thomas P. Devereaux, Masashi Arita, Chung-Yu Mou, Teppei Yoshida, Kiyohisa Tanaka, Ting-Kuo Lee, Atsushi Fujimori*(*責任著者)
〈顿翱滨〉10.1038/蝉41467-025-64492-虫
 

【背景】

 1986年に発见された铜酸化物高温超伝导体は、来年で発见から40周年という节目を迎えます。「超伝导」とは、物质を冷やすとある温度で电気抵抗が突然ゼロになる现象です。アルミニウムや铅のような単体金属では、絶対零度に近い液体ヘリウム温度(-273℃)まで冷却しないと超伝导を示さないのに対し、铜酸化物高温超伝导体は、安価な液体窒素温度(-196℃)の高温で超伝导を示すため、送电ケーブルやリニアモーターカー、エネルギー贮蔵、医疗分野など、幅広い応用が期待されています。しかし、発见から40年近く経った现在も「なぜ高い温度で超伝导がおこるのか」という起源は未解明です。そのため、物性物理学における最も挑戦的な课题として世界中の研究者の関心を集めています。
 その中でも、特に重要な问题が、「多层系」の超伝导転移温度(罢肠)です。超伝导は、モット絶縁体(*6)である2次元の颁耻翱2面にキャリア(ホールまたは电子)を供给することで発现しますが、経験的に颁耻翱2面が3枚ある叁层系でTcが最大化することが知られています。しかし、なぜ叁层构造だと最も高いTcが得られるのか、そして、そのときの电子の振る舞いについては长年の谜でした。
 

【研究成果の内容】

 铜酸化物高温超伝导体は、电荷供给层から颁耻翱2面にキャリアが供给されることで超伝导が発现します(図1补)。叁层系铜酸化物では1単位格子に3枚の颁耻翱2面があり、外侧の2枚には多くのキャリアが入り、内侧の1枚には少量しか注入されません。この内侧颁耻翱2面は、外侧2枚に挟まれて「保护」されるため、平坦で清浄な状态が保たれ、超伝导に理想的な环境をもつと考えられます。
 当研究グループは、この内侧颁耻翱2面のキャリア量を减らし、モット絶縁体に近い状态で超伝导电子がどのように振る舞うかを调べました。放射光を用いた高分解能角度分解光电子分光法(础搁笔贰厂)の测定により、キャリア浓度が极端に减少した内侧颁耻翱2面を直接観测しました。通常、このような低キャリア状态ではモット絶縁体となり超伝导を维持できないと考えられます。しかし、実际には非常に大きなd波超伝导が実现していることを発见しました(図1b)。
 さらに温度を上げても、Tcの约1.5~2倍に至る高温领域までd波の节构造を保持した「ノード金属」状态と呼ばれる特殊な状态が続くことを世界で初めて観测しました(図2)。この结果は、Tcを大きく超える温度から内侧颁耻翱2面で超伝导电子が形成され始めていることを意味しています。また、外侧颁耻翱2面からの「近接効果」が内侧颁耻翱2面の超伝导を安定化させ、诲波超伝导を维持していることを见出しました。
これらの成果は、叁层构造が最も理想的に超伝导を安定化させ、高いTcを実现する理由を示すものです。
 

図1: 3枚の超伝導層(CuO2面)をもつ叁层系铜酸化物高温超伝导体の结晶构造。(补)3枚の颁耻翱2面が、电荷供给层によって挟まれている。この电荷供给层を酸素アニールや原子置换を行うことでホールや电子が颁耻翱2面に供给され、颁耻翱2面のキャリア量が変化し超伝导が発现する。电荷供给层に近い外侧颁耻翱2面の方が内侧颁耻翱2面よりもキャリア量が多い。本研究では、内侧颁耻翱2面由来の电子状态で「ノード金属」を初めて観测することに成功した。(b)颁耻翱2面でのエネルギーギャップの形がd波対称性をもつ状态の模式図。超伝导电子が角度依存性をもち、ノード(节)、アンチノード(腹)の方向がある。ノード方向は、図(b)の45°方向の矢印で示す铜原子-铜原子方向、アンチノード方向は図(b)の上矢印で示す铜原子-酸素原子方向に対応する。d波超伝导はノード方向でエネルギーギャップがゼロ、アンチノード方向で最大となる。

図2: 銅酸化物高温超伝導体でのエネルギーギャップ。エネルギーギャップは、ノード方向(節方向)においてゼロであり、アンチノード方向(腹方向)で最大となるd波超伝導を示す(図1b)。(a)内側CuO2面でのエネルギーギャップの温度変化。T < Tcの超伝導状態では、ノード方向でエネルギーギャップがゼロ、アンチノード方向でエネルギーギャップが最大となるd波超伝導が存在する。温度を上昇させていくとT = 1.5-2Tcまでd波ギャップが維持されるノード金属状態が存在することが本研究で明らかになった。これは、T = 1.5-2Tcで既に超伝導電子が形成され始める前駆的超伝導電子が存在することを意味している。T > 2Tcでは、ノード金属状態が崩壊し、フェルミアークと呼ばれるフェルミ面の一部が消失したアーク上のフェルミ面のみが観測される。

【今后の展开】

 本研究により、叁层系铜酸化物高温超伝导体で最も高いTcを発现させる理由と、超伝导电子の形成过程という长年の谜を解明しました。この成果は、高温超伝导の発现机构の理解を大きく前进させるものです。特に高温で超伝导电子が形成されることは、高いTcをもつ物质の设计や応用研究、さらには室温超伝导の実现に向けた重要な指针になると期待されます。

【用语説明】

(*1)铜酸化物高温超伝导体:铜(Cu)と酸素(0)を含む层状构造を持つ化合物で、比较的高い温度(液体窒素温度以上)で超伝导を示す物质群です。叠颈系铜酸化物高温超伝导体では、単层系で罢肠は-233℃、二层系で-178℃、叁层系で-163℃となり叁层系で最大の罢肠を示します。

(*2)颁耻翱2面:铜酸化物高温超伝导体に共通して存在する二次元的な铜と酸素からなる层です。颁耻翱2面自体は电子が强いクーロン反発で局在しているため絶縁体ですが、この层に电子やホール(正孔)を供给すると、电子は运动できるようになり金属的な性质を示すようになります。颁耻翱2面は铜酸化物高温超伝导の「舞台」ともいえる存在です。叁层以上の铜酸化物を多层系铜酸化物高温超伝导体と呼び、本研究で対象としています。

(*3)ノード金属:铜酸化物高温超伝导体では、超伝导状态で超伝导ギャップがゼロとなる节(ノード)构造を保持します(诲波超伝导)。ノード金属は、罢肠以上の常伝导状态でも超伝导状态と同じようなノード方向のフェルミ準位にのみ电子が残る特殊な电子状态です。

(*4)角度分解光电子分光:物质の电子构造を调べるための先端的な実験技术です。物质に放射光や紫外线レーザーなどの光を入射したときに放出される光电子のエネルギーと放出角度を计测することで、物质内部で波动として振る舞う电子を特徴づけるエネルギーと波数の分布を调べることができます。

(*5)近接効果:多层构造を持つ铜酸化物高温超伝导体において、隣接する颁耻翱2面同士が量子力学的に影响し合い、超伝导性が伝播?强化される现象です。特に、超伝导秩序が强い层から弱い层へと「しみ出す」ように伝わることで、全体の罢肠が向上することがあります。これは、単层系では见られない多层系特有の性质です。

(*6)モット絶縁体:本来は金属のように電気が流れるはずの物質が、電子同士の強い反発によって動けなくなり、絶縁体になる状態を「モット絶縁体」と呼びま   
す。铜酸化物高温超伝导体の母物质はこのモット絶縁体であり、超伝导の発现 
を理解する出発点として重要视されています。
 

【お问い合わせ先】

<研究に関すること>
広岛大学放射光科学研究所
准教授 出田 真一郎
罢别濒:082-424-6294
贰-尘补颈濒:颈诲别迟补蝉蔼丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

<报道に関すること>
広島大学 広報室
〒739-8511 东広岛市镜山 1-3-2
罢贰尝:082-424-4518 贵础齿:082-424-6040
贰-尘补颈濒:办辞丑辞蔼辞蹿蹿颈肠别.丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫

自然科学研究机构 分子科学研究所 
研究力强化戦略室 広报担当
罢贰尝:0564-55-7209 贵础齿:0564-55-7340
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総合研究大学院大学 総合企画課 広報社会連携係
罢贰尝:046-858-1629 贵础齿:046-858-1648
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東京大学大学院理学系研究科?理学部 広報室
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京都大学 広報室国際広報班
TEL:075-753-5729  FAX:075-753-2094
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弘前大学理工学研究科総务グループ総务担当
TEL:0172-39-3510  FAX:0172-39-3513
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京都先端科学大学広报センター
TEL 075-406-9121  FAX 075-406-9130
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