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【研究成果】「イメージの多様性」は年代によって異なる ―若い人ほど、イメージが浮かばない(アファンタジア)割合が高くなる―

概要

 みなさんは“バナナをイメージしてください”と言われたとき、头のなかでバナナが见えますか? このことを心理学では「(心的)イメージ」と呼んでいます。最近、このイメージが浮かばない(见えない)特质―アファンタジア(aphantasia: Zeman et al., 2015)―が知られるようになってきました。
 これまで、国内では福岛大学を中心とする研究チームによって取り组んできました。今回、アファンタジア研究として新たな知见が得られましたので、その成果をご报告いたします。


●&苍产蝉辫;アファンタジアの出现率は年代(20~70歳代)によって変化し(0.7~4.5%)、特に20?30歳代における出现率が高い(3.6~4.5%)
●&苍产蝉辫;20?30歳代では「多感覚アファンタジア(全ての感覚イメージが浮かばない)」や「视覚アファンタジア(视覚イメージが特异的に浮かばない)」などのサブタイプが抽出されるが、年代が上がると抽出されにくくなる


 以上の结果から、年代に応じてアファンタジアの出现率が変化することがわかります。アファンタジアは多様な认知スタイルの一种であり、私たちは、“认知には多様性が存在する”ということをあらためて理解すべきです。
 この研究成果は『狈别耻谤辞辫蝉测肠丑辞濒辞驳颈补』誌に掲载されています。みなさまにアファンタジアの存在を知っていただきたく、ご报告いたします。
 

研究成果のポイント

?年代によるアファンタジアの「出现率」と「サブタイプ」の违いを検讨するために、20~70歳代の约2,500名を分析対象とした大规模调査を実施しました。
?出现率:40~70歳代(0.8~1.7%)に比べて、20?30歳代(3.6~4.5%)の方が、アファンタジアの出现率が高い结果となりました。
?サブタイプ:20?30歳代では「多感覚アファンタジア」や「视覚アファンタジア」のサブタイプが抽出された一方で、40~70歳代ではサブタイプは确认できませんでした。
?年代によってどのようにイメージ能力が変化していくか(発达的変化)、に関しては縦断的検讨などもふまえて今后も検讨が必要です。

研究の背景

 目の前にはない物や人の顔を頭のなかで思い浮かべることを心理学では「(心的)イメージ」と呼んでいます。ここ10年ほどでイメージを思い浮かべられない特質が報告されるようになり、これをアファンタジア(aphantasia:Zeman et al., 2015)と呼んでいます。
 研究が进むなかで、アファンタジアの认知特性などが明らかになりつつあります。一方で、アファンタジアの同定方法や出现率?サブタイプの存在など、研究の根干にかかわる部分については、未だに不明な点が多々あります。特に、アファンタジアの出现率が年代に応じてどのように分布しているのか、それは発达的に変化するのかなどは、社会におけるアファンタジアの理解を进めるうえで重要なデータとなります。これらを明らかにするため、私たちは社会人を対象とした大规模调査を実施しました。
 

研究の手法

调査参加者 オンライン?サンプリングによるweb調査を行いました。调査参加者は20~70歳代の社会人であり、分析対象者は2,558名(男性1,184名,女性1,374名)でした。
本研究の実施については、福岛大学研究伦理委员会の审査を経ています(2021-01)。
质问纸 【アファンタジアの出現率】 アファンタジアかどうかを同定する质问纸として、視覚イメージ鮮明性质问纸(VVIQ: Marks, 1973)を用いました。これは先行研究(Dance et al., 2022;Zeman et al., 2015)でも用いられている基準となります。質問項目には、たとえば“よく会っている親戚とか友人の顔や頭、肩、体の正確な輪郭”や“木や山や湖のある風景の木々の色と形”などについてイメージして、その鮮明度について評定を行うものがありました。評定は、それぞれ5段階(1:全くイメージがわかない~5:完全に明瞭)で求めました。このような質問を16項目設定し、その評定点を合計してアファンタジアに該当するかどうかの基準として用いました(合計点は16点~80点の範囲)。
【アファンタジアのサブタイプ】 多感覚イメージについても着目し、イメージ质问纸(QMI:Betts, 1909;Sheehan, 1967)を用いました。質問項目には、たとえば“機関車の汽笛(聴覚イメージ)”や“木綿の布地(触覚イメージ)”などがありました。視覚、聴覚、触覚、運動感覚、味覚、嗅覚、有機感覚(内臓感覚)の7つについて、それぞれ5項目が設定されました(合計で35項目)。評定は、それぞれ7段階(1:全くイメージがわかない~7:完全に明瞭)で求めました。

研究の成果

【出現率】 アファンタジアの同定基準(VVIQ ≦23:Zeman et al., 2020)をもとに、分析対象者のVVIQ評定点を用いて出現率を算出したところ、3.6%(20歳代)、4.5%(30歳代)、1.7%(40歳代)、1.7%(50歳代)、0.7%(60歳代)、0.8%(70歳代)となりました。つまり、20?30歳代(3.6~4.5%)の方がその他の40~70歳代(0.8~1.7%)よりも出现率が高い结果でした(図2)。
【サブタイプ】 各年代の蚕惭滨评定点を用いてクラスター分析を行うことで、多感覚アファンタジアや视覚アファンタジアなどのサブタイプがどの程度存在しているか、そして年代による违いがあるかどうかを検讨しました。结果として、20?30歳代では多感覚アファンタジアや视覚アファンタジアが抽出されましたが、その他の40~70歳代では确认できませんでした(図3)。

研究の意义

 これまでも、海外の研究(Dance et al., 2022)や国内の私たちの研究(Takahashi et al., 2023)によって、アファンタジアの出現率やサブタイプの存在については報告されてきました。特に私たちの研究(Takahashi et al., 2023)から、サブタイプとして「多感覚アファンタジア」と「視覚アファンタジア」などの存在が明らかとなってきました。このことから、イメージが浮かびにくいアファンタジアの人たちが一定数存在していること、そこには様々なタイプも存在していることがわかります。
 さらに本研究により、その出现率は年代によって変化することが明らかとなりました。年代によるアファンタジアの出现率の违いが见られたことは、アファンタジア研究、特にアファンタジアを同定するための基础データの蓄积に贡献できます。また、今后のアファンタジア研究を展开するうえで、どのような人たちをアファンタジアと定义できるか、その研究法にも寄与するものと考えられます。结果として、アファンタジアの特性解明が进み、社会におけるアファンタジアの理解促进につながるものと期待できます

今后の课题

 本研究の限界として、なぜ20?30歳代でアファンタジアの出現率が高くなったのか、そのメカニズムについては十分に説明できていません。たとえば、质问纸における「イメージ評定」に関する意識の個人差が影響したかもしれません(若い人ほど評定がシビアになる、など)。あるいは、イメージ形成には発達的変化があるのかもしれません(数年間の縦断的方法によって解明できるかもしれません)。継続した調査研究が必要であり、今後も信頼性?妥当性のあるアファンタジアの同定方法を追究していきます。

図2. 各年代におけるVVIQの平均評定値(棒グラフ)およびアファンタジアの出現率(折れ線グラフ)。赤枠の範囲が他の年代よりもアファンタジアの出現率が高い。
※ 本報告用にグラフを作り変えています

(a)

(b)

図3. 多感覚イメージに関するサブタイプの分析(例として、20歳代(a)と70歳代(b)の結果)。20歳代(a)では多感覚アファンタジア(クラスター1)と視覚アファンタジア(クラスター2)が明確に抽出されたが、70歳代(b)でははっきりしない結果であった。
※ 本報告用にグラフを作り変えています。

掲载誌?论文情报

【タイトル】Age differences in visual and multisensory imagery: Notes on distributions of aphantasia and hyperphantasia in individuals aged 20s–70s.
年代における视覚イメージおよび多感覚イメージの违い:20―70歳代におけるアファンタジアとハイパー?ファンタジアの出现率の违い
【著 者】 Takahashi, J., Omura, K., and Sugimura, S.
【所 属】 髙桥 纯一(福岛大学)
                  大村 一史(山形大学)
                  杉村伸一郎(広島大学)
【掲载誌】 狈别耻谤辞辫蝉测肠丑辞濒辞驳颈补
【公开日】 2026年3月12日付けでオンライン公开
【DOI】     https://doi.org/10.1016/j.neuropsychologia.2026.109433

    当事者のエピソードに関する翻訳本
    『アファンタジア』北大路书房、2021年

国内の当事者を対象としたエピソードをまとめた着书
『イメージの<ない>世界に生きる アファンタジア』北大路书房、2025年

【お问い合わせ先】

【研究に関すること】
福岛大学 人间発达文化学类 教授 髙桥 纯一
MAIL: j-takahashi*educ.fukushima-u.ac.jp

山形大学 教育学部 教授 大村 一史
MAIL: omura*e.yamagata-u.ac.jp

広島大学 大学院人间社会科学研究科 教授 杉村 伸一郎
MAIL: shinsugi*hiroshima-u.ac.jp


【広报に関すること】
福岛大学 総务课 広报?渉外室
TEL: 024-548-5190
MAIL: kouho*adb.fukushima-u.ac.jp

山形大学 総务部総务课秘书広报室
TEL: 023-628-4008
MAIL: yu-koho*jm.kj.yamagata-u.ac.jp

広岛大学 広报グループ
TEL: 082-424-3749
MAIL: koho*office.hiroshima-u.ac.jp

(*は半角@に置き换えてください)


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