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【研究成果】世界初!希土類を含む「交替磁性体」を発見 — 次世代の磁気記憶技術に道 —

本研究成果のポイント

  • 第叁の磁性体「交替磁性体」の物质探索を行い、希土类元素(1)を含む交替磁性体を世界で初めて発见しました。
  • 従来の磁気記憶素子(2)における情報の保持?読み書きには、強磁性体の↑(上向き)と↓(下向き)のスピン状態が利用されています。一方交替磁性体では、(↑ ↓)と(↓ ↑)の状態を用いた情報の保持?読み書きが可能です。
  • 强磁性体では情报の処理に数ナノ秒※要するのに対して、交替磁性体では数ピコ秒※の応答が可能とされています。これによって,ピコ秒オーダーの情报の保持?読み书きが可能になり、电子デバイスの消费电力の低减やバッテリー持続时间の延长が可能となります。本研究成果は、交替磁性体の基础学理の构筑とともに、磁気记忆素子の进歩に贡献することが期待されます。
    ※1ナノ秒 = 10億分の1秒、1ピコ秒 = 1兆分の1秒
     

概要

 広島大学大学院先进理工系科学研究科の大石遼平 日本学术振兴会特别研究员-PD (現:北海道大学電子科学研究所 電子物性材料創成分野 助教)、高畠敏郎 名誉教授、鬼丸孝博 教授らの研究グループは、希土類元素を含む交替磁性体を世界で初めて発見しました。交替磁性体では、図1のように、(↑ ↓)と(↓ ↑)の状態を区別できるため、強磁性体のように情報の保持?読み書きが可能となります。
 本研究では、希土類元素のテルビウム(Tb)を含む金属間化合物TbPt6Al3の純良な大型単結晶試料を育成し磁性と伝導を調べました。国内外の中性子実験施設を利用し磁気構造を決定することで、TbPt6Al3において(↑ ↓)と(↓ ↑)の状態が区別できることを明らかにしました。この発見は、新たな交替磁性体の探索の指針を示すとともに、磁気記憶素子の進歩に貢献することが期待されます。
 本研究成果は、2025年9月10日 (現地時間)に米国科学誌「Pysical Review B」に掲載されました。

図1:交替磁性体の概念図。スピンが平行に並んだ強磁性体では、↑と↓の状態は並進操作や反転操作によって一致しないため、区別することが可能です。赤色と青色のスピンが反平行に並んだ反強磁性体では、(↑ ↓)と(↓ ↑)の状態が並進または反転操作によって一致します。交替磁性体では、反平行に並んだスピンと特殊な非磁性原子の対称性によって、(↑ ↓)と(↓ ↑)の状態が区別可能となります。
 

研究の背景

 従来の磁気記憶素子では、強磁性体の↑と↓の2つのスピン状態を用いて情報を保持?記憶しています。一方、スピンが反平行に並んだ反強磁性体では、(↑ ↓)と(↓ ↑)のスピン状態が、並進または反転操作によって一致するため、磁気記憶素子への利用は不可能とされていました。しかし最近、非磁性原子の特殊な対称性によって、(↑ ↓)と(↓ ↑)のスピン状態を区別できる反強磁性体が理論的に提案されました。この特殊な反強磁性体は、「交替磁性体」と呼ばれ、国内外で大きな注目を集めています。近年、実験的な実証も進みつつありますが、交替磁性体の実験例は、遷移金属元素を含む物質に限られていました。

研究成果の内容

 本研究では、Tbイオンがハニカム構造を組む金属間化合物TbPt6Al3の純良単結晶試料を、広島大学院先进理工系科学研究科の磁性物理学研究室に設置された高周波加熱炉を用い、チョコラルスキー法(3)によって作製しました (図1(a))。この単結晶試料の磁性と電気伝導の性質を、同大学自然科学研究支援開発センターに設置された断熱消磁冷凍機を用いて、0.1 K以下の極低温まで調べました。さらに、英国ラザフォード?アップルトン研究所の高分解能チョッパー型中性子(4)分光器MARIおよび東北大学金属材料研究所の中性子粉末回折装置HERMESによって、TbPt6Al3の磁気構造を決定しました。
 図2(b)に示したTbPt6Al3の磁気構造では、反平行に整列したTbの磁気モーメントがハニカム格子を組んでいます。このTbのハニカム格子が、非磁性原子のプラチナ原子の三角形を内方しているため、(↑ ↓)と(↓ ↑)の2つのスピン状態が並進または反転操作によって一致しません。従って、TbPt6Al3が希土類元素を含む初の交替磁性体であることが明らかとなりました。
 交替磁性体は、强磁性体に代わる次世代の磁気记忆素子への応用が期待されており、従来は迁移金属元素を含む物质を中心に研究されてきました。今回の罢产笔迟6础濒3の発见は、交替磁性体の基础学理の深化や新规磁気记忆素子の开発に贡献する成果となります。

図2:TbPt6Al3の(a) 単結晶試料と(b)磁気構造。Tb原子(黒)のハニカム格子がアルミニウム原子(緑)の三角形を内包しています。
 

研究支援

 なお本研究は、日本学術振興会の科研費である、特別研究員奨励費 (課題番号 22KJ2336)、基盤研究C (課題番号21K03473)、学術変革領域A「アシンメトリが彩る量子物質の可視化?創出?設計」課題番号23A202における、研究計画班「アシンメトリ量子物質の深化」課題番号23H04870 (研究代表者:大原繁男)の一環として行われました。中性子粉末回折装置HERMESを用いた実験では、東京大学物性研究所 (課題番号23615)と東北大学金属材料研究所(課題番号202212-CNKXX-0001)の援助を受けました。

论文情报

論文タイトル:TbPt6Al3: A rare-earth-based g-wave altermagnet with a honeycomb structure
着者名:*大石辽平1、 谷口貴紀2、 D. T. Adroja3、4、 M. D. Lee3、 M. Aouane3、5、 鬼丸孝博1、 梅尾和則6、 石井勲1、 高畠敏郎1 (*责任着者)
 1. 広島大学大学院先进理工系科学研究科
 2. 東北大学金属材料研究所
 3. ISIS Facility、 STFC, Rutherford Appleton Laboratory, United Kingdom
 4. Physics Department, University of Johannesburg, South Africa
 5. European Spallation Source ERIC, Sweden
 6. 広島大学自然科学研究支援開発センター
掲載雑誌:Physical Review B
顿翱滨:丑迟迟辫蝉://诲辞颈.辞谤驳/10.1103/锄1诲驳-诲5蹿虫

用语解説

(1)&苍产蝉辫;希土类元素:
原子番号57のランタン(尝补)から71のルテチウム(尝耻)までの15种类の元素に、スカンジウム(厂肠)とイットリウム(驰)を加えた17元素の総称です。希土类元素は、私たちの生活に欠かせない永久磁石やディスプレイ材料などに広く使われています。
(2)&苍产蝉辫;磁気记忆素子:
磁石の極性や磁化の向きを利用して、情報の記録と書き出しをする素子です。従来、強磁性体の磁化の向きを、上向きなら「0」、下向きなら「1」というように、コンピュータが扱う数字 (0と1)と対応させます。身近な例では、ハードディスクや交通系ICカードにも磁気記憶素子は利用されています。
(3)&苍产蝉辫;チョコラルスキー法:
シリコンやゲルマニウムなどの半导体材料の単结晶试料を育成する代表的な手法です。金属るつぼ内で原料を加热して溶かした后、小さな単结晶を原料に接触させ、ゆっくりと引き上げることで、结晶が成长していきます。别名、「引き上げ法」とも呼ばれます。
(4)&苍产蝉辫;中性子:
中性子は原子核の中にある粒子の一种であり、スピンをもつことが特徴です。そのため、粉末中性子回折では、物质に入射した中性子に対する回折パターンを测定することで、原子の并び方だけでなくスピンの配列を精密に决定することが可能です。

【お问い合わせ先】

〈研究に関すること〉
 北海道大学電子科学研究所 助教 大石遼平
  ※研究当時:広島大学大学院先进理工系科学研究科(日本学术振兴会特别研究员)
  Tel: 011-706-9426
  Mail: oishi*es.hokudai.ac.jp


〈报道に関すること〉
 広岛大学 広报室
 Mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp

 北海道大学 電子科学研究所 広報委員会
 Mail: Ries-pr*es.hokudai.ac.jp

 (*は半角@に置き换えてください)


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