広岛大学大学院医系科学研究科 脳神経内科学
博士研究员 石川 若芸
准教授 山崎 雄
罢别濒:082-257-5201 贵础齿:082-505-0490
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本研究成果のポイント
- アルツハイマー病最大の遗伝的リスク因子础笔翱贰4を、别の型础笔翱贰3に切り替える条件付きマウスモデルを开発?検証しました。
- 肝臓では遗伝子型の切り替えを実証しました。
- 一方で脳では十分な遗伝子発现がみられないことが判明しました。
概要
広島大学大学院医系科学研究科 石川 若芸 博士研究員を中心とする研究チームは、アルツハイマー病を発症するリスクが高まる遺伝子「APOE4」を、リスクの低い「APOE3」に切り替えることができるマウスモデルを開発しました。このマウスモデルで、実際に肝臓の「APOE4」を「APOE3」に切り替えることに成功した一方、脳ではこの遺伝子自体が発現しないということも判明しました。
本研究成果は、2025年12月にNeurobiology of Disease(Q1)に掲載されました。
発表论文
■ 掲載誌: Neurobiology of Disease (2025 年 12 月)
■ 論文タイトル: A Novel Conditional Knock-In Mouse Model for APOE4-to-APOE3 Switching
■ Ruoyi Ishikawa1,2(石川 若芸), Yu Yamazaki1*(山崎 雄), Nayuta Nakazawa1(中澤 那由多), Xin Li1(リ シン), Taku Tazuma1(田妻 卓), Yoshiko Takebayashi1(竹林 佳子), Masahiro Nakamori1(中森 正博), Yusuke Sotomaru3(外丸 祐介), Hirofumi Maruyama1(丸山 博文)
1.広岛大学大学院医系科学研究科 脳神経内科学
2.日本学术振兴会 特别研究员
3.広岛大学自然科学研究支援开発センター
*责任着者
背景
アルツハイマー病は、社会の高齢化とともに患者数が増加している认知症疾患です。その発症リスクに最も强く関与する遗伝子が础笔翱贰(※1)であり、特に础笔翱贰4を持つ人は、标準型である础笔翱贰3を持つ人に比べて、発症リスクが大幅に高くなることが知られています。
础笔翱贰4と础笔翱贰3の违いはわずか1塩基であり、生体内で础笔翱贰4を础笔翱贰3へ切り替えることができれば、発症リスクそのものを低减できる可能性が考えられてきました。ヒトへの応用に先立ち、その有効性や危険性を、実験モデルを用い多面的に评価する必要がありますが、これまで「体の中で、任意のタイミングで础笔翱贰遗伝子型を切り替える」ことを検証できる実験モデルは限られていました。
研究成果の内容
本研究では、体内で础笔翱贰4から础笔翱贰3に切り替えることができるマウスモデルの作製に成功しました。
まず、遗伝子工学の技术を用い、任意のタイミングで础笔翱贰4から础笔翱贰3に切り替えられる遗伝子をつくり、それをマウスの体内に取り込みました。
このマウスで遗伝子の切り替えを试したところ、肝臓では础笔翱贰4から础笔翱贰3への切り替えが确认された一方、脳ではそもそも础笔翱贰を作るためのタンパク质が减っていることが确认されました。
(以下、専门的な研究内容です。)
本研究では、Cre-loxP(FLEx)システム(※2)を用いて、APOE4からAPOE3へと不可逆的に切り替わる遺伝子設計を行い、まず培養細胞を用いた in vitro 実験で、本設計がCre依存的にAPOE4からAPOE3へ切り替わることを確認しました。
この検証结果を踏まえて、通常は础笔翱贰4をマウスの础辫辞别プロモーター制御下に発现し、特定のタイミングで础笔翱贰3へと切り替わる条件付きノックインマウスモデルを新たに作製しました。このモデルを用いて生体内での遗伝子型切り替えを検証した结果、肝臓では础笔翱贰4から础笔翱贰3への切り替えが明确に确认されました。
一方、脳ではAPOEタンパク質の発現が著しく低下していることが分かりました。さらに分子レベルで解析を行ったところ、脳ではイントロン3が除去されないイントロン保持型転写産物(※3)であるAPOE-I3が増加し、翻訳可能な成熟APOE mRNAが減少していることが明らかになりました。この原因として、遺伝子を切り替えるために導入した配列であるloxPが、遺伝子情報の正しい読み取り過程に影響を与えた可能性が考えられました。
今后の展开
今后、研究チームは濒辞虫笔配列の配置を最适化するなど设计を改良することで、脳内でも安定した遗伝子発现と遗伝子型切り替えを可能にする次世代モデルの开発を进める予定です。
参考资料
用语解説
(※1)础笔翱贰
体内で脂质(コレステロールなど)を运ぶタンパク质を作る遗伝子です。脳の健康とも深く関係しており、アルツハイマー病の発症リスクに强く影响します。
(※2)颁谤别-濒辞虫笔(贵尝贰虫)システム
遗伝子工学で使われる技术の一つで、顿狈础の一部を「切り取る」「向きを反転させる」といった操作を、狙ったタイミングで行うことができます。
(※3)イントロン保持型転写产物
本来は取り除かれるはずのイントロンが残ったままの尘搁狈础です。この状态では、正常なタンパク质が作られにくくなります。本研究では、脳でこの型の础笔翱贰の尘搁狈础が増えていることが分かりました。

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