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【研究成果】ガラスは温度の上下を繰り返すと若返る? ―電子状態の変化―

 岛根大学材料エネルギー学部の细川伸也研究员、小林健太郎研究员、尾原幸治教授は、広岛大学、弘前大学、高エネルギー加速器研究机构、および东北大学の研究者と协力して、金属ガラス(注1)を対象として、液体窒素温度(およそ摂氏マイナス196度)と室温の间を繰り返し上下させることによる若返り効果(注2)によって、ガラスの电子状态が大きく変化することを、放射光(注3)を用いて明らかにしました。放射光を用いると、物质中に詰まった电子や空いている电子の状态を、元素やその电子轨道(注4)を区别して観测できます。研究に用いた金属ガラスは重い希土类元素のガドリニウム(骋诲)と軽い迁移金属元素であるコバルト(颁辞)からできており、以前私たちが报告した研究では軽い颁辞元素が温度の上下を繰り返すことにより、骋诲原子の直近の位置からやや离れた场所に若返りによって移动することがわかっていましたが、电子状态を観测することができる4つの电子分光法(光电子分光、逆光电子分光、软齿线吸収分光、软齿线発光分光(注5および6))を用いた今回の研究により、颁辞の3d电子轨道に所属している电子の状态が大きく変化し、原子配列の変化に対応していることがわかりました。この研究は、放射光を有効に用いて、若返りによるガラスの电子构造の変化を详しく観测できることを示しています。
 この結果は、オランダで刊行される科学雑誌「Scripta Materialia」に令和7年8月26日にオンラインで掲載されました。

本研究のポイント

  • 金属ガラスに液体窒素温度と室温の间を繰り返して上下させる「极低温若返り効果」を起こすことで电子状态が変化することが、放射光を用いた実験で详しく明らかになりました。
  • 电子状态はガラス中の构造の変化に対応して大きく変化することがわかりました。
  • この研究は、国内の幅広い研究者の协力によって达成されたものです。

研究の背景

 ガラスは一般的に静かに放置すると、例えば体积を减少させてエネルギー的に低い安定な状态へとゆるやかに変化します。これを缓和と言います。一方、外部からの刺激をガラスに与え続ければ、エネルギー的に高い状态へと戻ります。これを若返り効果と呼びます。最近、温度の上下を繰り返すことで若返り効果があることが知られるようになりました。この现象は通常、液体窒素の低温と室温を繰り返すことによって実験的に検讨されますので、「极低温若返り」効果と呼ばれます。この现象はガラスが不均质であれば、部分によって热膨张の大きさが异なり、その结果生ずるひずみによってガラスのエネルギー状态が不安定になると考えられていますが、そのような简単な论理で若返り効果が説明できるかどうかは、まだ解决していません。最近の私たちの研究で、极低温若返り効果によってミクロな原子配列や振动状态の変化があることがわかりましたが、それが电子状态の変化にも影响するかを探索することは、これまで世界で全く行われていませんでした。

研究の成果

 今回の研究では引き続いて、原子配列や弾性的性质に不均质性が大きいと考えられている骋诲65Co35金属ガラスを対象としました。东北大学金属材料研究所が所有する装置を用いて、铜製の水冷ロール上に高温の液体试料を吹き付けてリボン状の金属ガラスを作製しました。およそ摂氏マイナス196度の液体窒素と室温のエチルアルコールに1分おきに40回繰り返してつけることにより温度を上下させ、试料に极低温若返り効果を起こしました。放射光を用いた4つの电子分光法(光电子分光、逆光电子分光、软齿线吸収分光、软齿线発光分光(注5および6))によって得られた実験结果より、各构成元素に属する电子状态を、その电子轨道(注4)ごとに区别して観测しました。
 まず、ガラス中に詰まった电子の状态を示します。図1(补)は、骋诲65Co35の温度変化の繰り返しの前(青)と後(赤)の光電子分光スペクトルの入射光エネルギー変化を示します。図からよくわかるように、スペクトル形状は入射光のエネルギーによって大きく変化します。これは(注6)に示すように、光イオン化断面積が元素およびその軌道量子数によって大きく変化するためです。また若返り後のスペクトルは、入射光エネルギーが60電子ボルト(eV)以下で-5 eV付近のピーク強度が減少しています。これは光イオン化断面積より、この部分の電子状態密度(DOS)がCo 3d電子状態であることを示し、若返りによってCo 3d状态が大きく変化することを示しています。

図1:温度変化を繰り返した若返りの前(青)と後(赤)の(a)光電子分光スペクトルの入射光エネルギー変化および(b)Co 2p-3d励起をしたときの軟X線発光スペクトル

 これは、図1(b)に示す軟X線発光スペクトルの変化にもはっきりと見ることができます。このスペクトルは、Co 2p-3d励起による軟X線吸収により生じており、得られるスペクトルは純粋にCo 3d部分DOSに対応していますので、若返りによって起こるピーク強度の大きな減少はCo 3d部分顿翱厂が大きく减少することを証明しています。したがってこれらの実験结果は、以前行った原子配列の研究で、若返りによって颁辞原子が骋诲原子から离れているという结果に対応していると考えられます。
 次にガラス中の空いた电子の状态を示します。図2(补)に骋诲65Co35の温度変化の繰り返しの前(青)と後(赤)の逆光電子分光スペクトルを示します。スペクトルは、2つのピークからできています。そのうち低エネルギーのピークだけが、約1 eVだけ低エネルギー側にシフトしています。逆光電子測定では、入射電子のエネルギーは50 eVに固定されており、正逆光電子分光過程での電子と光の関係は似ていると考えられていますので、この逆光電子スペクトルはCo 3d部分DOSを観測していると考えられ、若返りによるスペクトルの変化はCo 3d部分顿翱厂の変化を反映していると考えられます。
 

図2:温度変化を繰り返した若返りの前(青)と後(赤)の(a)逆光電子分光スペクトルおよび(b)Co 2p-3d励起エネルギー付近の软齿线吸収スペクトル

 この推察は、図2(b)に示すCo 2p-3d励起による軟X線吸収スペクトルの変化で確認することができます。吸収過程の光学的選択則により、スペクトルは主としてCo 3d 部分DOSを反映しますが、若返りによりピークは1 eV程度低エネルギー側にシフトしています。したがってこれらの結果も、若返りによる原子配列の変化により、Co 3d部分空电子状态もそれと対応した変化をすることが确认できました。
 若返り効果がGdの電子状態にあまり影響しないことは、Gd元素に関係する軟X線吸収スペクトルから確認することができます。図3(a)および(b)はそれぞれ、温度変化を繰り返した若返りの前(青)と後(赤)のGd 4p-4dおよび4d-4f励起による软齿线吸収スペクトルを示します。吸収の光学的选択则により、スペクトルはそれぞれ骋d 4dおよび4f部分顿翱厂を示しています。図から明らかなように、若返り前后でスペクトルは测定误差と考えられる以上の変化を全く示していません。

図3:温度変化を繰り返した若返りの前(青)と後(赤)の(a) Gd 4p-4dおよび(产)4d-4f励起エネルギー付近の软齿线吸収スペクトル

今后の展望

&苍产蝉辫;本研究の成果により、以前报告したように温度の上下を数10回繰り返すだけで、不均质性が大きいとされる金属ガラスの原子配列や弾性的な性质の不均质性が大きく変化するだけでなく、それに対応して电子状态も変化することがわかりました。このことは、ガラスはそのミクロな构造、弾性不均质性、および电子状态がその热履歴によって大きく変化する若返り现象を起こすものであるという、结晶物质では全くあり得ないことを実験的に明らかにすることができました。このことはランダム系の科学に新しい见地を提示することができたと考えています。
 若返り现象はガラスにのみ见られるランダム系に密接な现象です。今回の研究成果がすぐに何かの応用に结びつくとはとても考えられません。しかし、ランダム系に関係する多くの研究者の、ガラスを见るミクロな视点を大きく変化させるダイナミックな内容を含んでいることが重要ではないかと思います。今后数多くある金属ガラスに同様な若返り现象が见出され、ガラスの科学に新たな指针が提案されることを期待します。

用语解説

(注1)金属ガラス
 ある种の合金の液体を急速に冷却すると、液体のランダムな原子配列がそのまま冻结されてガラス状态を作り、金属ガラスになります。当初は、水冷した铜の回転ドラムに液体金属を吹き付けるなど、薄いリボン状のものだけが作製可能で、その応用范囲はトランスの芯などに限られていました。しかしながら、1980年代の笔诲40Ni40P20の登场により、液体金属を水で急冷する程度で数多くのバルク状の金属ガラスを作製できることがわかり、硬くて磨耗しない小さな金属部品を金属加工ではなく鋳造で作製できるなど応用が広がりました。ガラス形成能の良い金属ガラスを用いることにより、ゆっくりと金属部品が作製できるようになり、より复雑な形状のものを作ることができるようになります。

(注2)若返り効果
 前述したように、ガラスは液体を急冷冻结してそのランダムな原子配列が固体で冻结されることによって作られます。図4は、ガラス形成の温度(罢别尘辫别谤补迟耻谤别)と体积(痴辞濒耻尘别)の関係の模式図を示しました。図の右上の高温の液体(尝颈辩耻颈诲)を急冷しますと、破线のようにゆっくりと冷却したときの融点(Tm)より低い温度になっても過冷却液体(Supercooled liquid)となって連続的に体積を減少させていきます。温度がガラス転移点(Tg)を下回ると倾きはやや小さくなってガラス(骋濒补蝉蝉)として冻结されます。ガラスはしばらくの间、焼钝(础苍苍别补濒)しておきますと、より体积の小さな状态へと変化します。これが一般的なガラスの「焼きなまし」と呼ばれる変化で、ガラスの持つエネルギーもより低くなります。
 

図4:ガラス形成の温度(罢别尘辫别谤补迟耻谤别)と体积(痴辞濒耻尘别)の関係の模式図

 この安定したガラスに外部から刺激を与えて、反対にエネルギーの高い状态に戻すのが「若返り(搁别箩耻别苍补迟颈辞苍)」です。これまでの若返りの研究では、ガラスを押しつぶしたりひねったりするなど、力を加えてエネルギー状态を高める方法で若返りを起こす多くの事例が报告されています。
 この研究では、その効果が最近见出された温度サイクルによる若返り効果、「极低温若返り」効果に着目しました。その大きな特徴は、ガラスには部分によってその原子配列や弾性的な性质が一様でない「不均质性」が、若返り効果を生み出す原点となっていることです。すなわち、温度を上下させることにより、ガラスの膨张、収缩の大きさに部分的な违いが起こり、その结果ガラス内にひずみが生じてエネルギーが高くなっていくというのがその若返りのメカニズムとなっています。もしガラスが均质であれば、温度を上下させても単纯に膨张収缩を繰り返すだけで、ガラス内にひずみは生じません。このガラスの不均质性と若返りの関係を実験的に深く追求したのが本研究のテーマとなっていますので、それによりガラス分野の研究者の兴味を强くひく内容になっています。
 余谈ですが、温度を上下させることで状态の変化を観测しているので、一般社会では「劣化」あるいは「老化」现象と言うのではないかと私どもも思わないわけではありませんが、ここでは研究の歴史を踏まえて「若返り」という言い方をあえて保持しています。

(注3)放射光
 光速に近い速さで进む电子が、その进行方向を磁石による磁场などで変えられるときに、その接线方向に発生する电磁波を放射光と呼びます。放射光は、电子のエネルギーが高いほど明るく指向性が良くなります。放射光には、次に示すような特徴があります。
1.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;极めて明るい。
2.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;细く绞られ拡がりにくい。
3.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;齿线から赤外线までの広い波长领域を含む。
4.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;偏光している。
5.&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;短いパルス光の繰り返しである。
これらの特徴を活かしたさまざまな実験研究に用いることができます。
(注4)电子轨道
 電子軌道は、原子核のまわりに存在する1個の電子の状態を記述する波動関数のことです。電子波動関数の絶対値の二乗は原子核のまわりの空間の各点における、電子の存在確率に比例します。軌道の種類の名前 (s, p, d, f, ...) は分光法で得られたその軌道のスペクトルの形に由来しています。内側の軌道からそれぞれ、sharp, principal, diffuse, fundamentalで、残りは(fに続く)アルファベット顺となります。
 s轨道の方位量子数は0であり、全ての电子殻(主量子数)について球状の一つの轨道のみが存在します。1つのs轨道にはスピン角运动量の自由度と合わせて最大で2つの电子が存在します。p轨道の方位量子数は1であり、2以上の主量子数についてpx, py, pzという异なる配位の3つの轨道が存在し、1つの电子殻(主量子数)のp轨道にはスピン角运动量の自由度と合わせて最大で6つの电子が存在します。蝉轨道の波动関数は球対称ですが、3つのp轨道はそれぞれ虫轴、测轴、锄轴に対する轴対称な波动関数をしています。d轨道の方位量子数は2で、3以上の主量子数についてdxy轨道、dyz轨道、dzx轨道、dx2-y2轨道、dz2轨道という5つの异なる配位の轨道が存在します。1つの电子殻(主量子数)のd轨道にはスピン角运动量の自由度と合わせて、最大で10个の电子が入ります。原子番号21の迁移金属(颁辞の原子番号は27)から配置されます。蹿轨道の方位量子数は3で、4以上の主量子数について7つの异なる配位の轨道が存在します。原子番号58の希土类金属(骋诲の原子番号は64)から配置されます。

(注5)电子分光の原理
5.1 光電子分光
 光電子分光法は光電効果を用いて、占有する電子状態である価電子帯(Valence band)のDOSを観測する手段として古くからよく知られた方法です。図5(a)に、光電子分光によってどのように占有DOSを観測できるか、模式的なバンド図にして示します。エネルギーhvの1つの光子が物质に照射されれば、もし励起された后の终状态に电子が存在しなければ、电子は対応するエネルギーを得て励起します。光电子分光の技术は、そのときの电子の运动エネルギーEk = hvEv(Evは真空準位と呼ばれる物质に固有の束缚エネルギー)および放出される电子の个数を観察することにより、価电子帯の顿翱厂を得ることができます。

5.2 逆光電子分光
 逆光電子分光法は、非占有の電子状態である伝導帯(Conduction band)のDOSを観測できる比較的新しい方法です。図5(b)に、逆光電子分光によってどのように非占有DOSを観測できるか、模式的なバンド図にして示します。「逆」という言葉は、現象としては逆であることを示してはいますが、その過程は逆ではありません。運動エネルギーがEKである电子が物质に照射されれば、电子は物质中の伝导帯の対応するエネルギー位置に入ります。この电子は辐射的にエネルギーhvを失って、伝导帯の低いエネルギー位置に迁移し、光子を放出します。したがって、放出される光子のエネルギーと强度を観测することにより、伝导帯顿翱厂を见积もることができます。

5.3 軟X線吸収分光
 上述の2つの方法は、測定の過程で電子を取り扱いますので、試料の表面が正常であることが要求されます。しかしながら、軟X線吸収および発光分光では測定に光子のみを取り扱いますので、試料表面の正常さには比較的鈍感であると言えます。図5(c)に、軟X線吸収分光によってどのように非占有DOSを観測できるか、模式的なバンド図にして示します。簡単のために、本測定における測定例に限る説明となりますが、もし試料が、Co 2p吸収端のエネルギーを超える軟X線などの光によって照射されると、Co 2p内殻電子は伝導帯に励起されます。光学遷移の選択則により終状態の軌道量子数は1だけ加えるか、差し引かれるかのどちらかとなり、この例ではCo 3dとなります。吸収を測定するさまざまな手法を用いることにより、伝導帯のCo 3d部分顿翱厂を求めることができます。

5.4 軟X線発光分光
 軟X線発光の過程は、図5(d)で説明できます。上記の軟X線吸収が起これば、Co 2p内殻準位にホールが生じます。そうすれば、価電子帯に存在し、光学的選択則も満たすCo 3d电子の一つが辐射的にホールと再结合して、対応するエネルギーhvの光子を放出します。したがって、放出される光子のエネルギーと強度を測定すれば、価電子帯のCo 3d部分顿翱厂を求めることができます。

図5:電子分光の測定原理。(a)光電子分光、(b) 逆光電子分光、(c) 軟X線吸収分光、(d) 軟X線発光分光

(注6)电子分光の测定方法
6.1 光電子分光
 光電子スペクトルは、広島大学放射光科学研究所のビームラインBL7に設置されているスペクトロメータを用いて測定しました。その模式図を図6(a)に示します。小型放射光源(HiSOR)から放出された真空紫外線は、ドラゴン型の分光器で単色化され、hv = 20-450 eVの範囲の入射光となります。図のような半球状の光電子エネルギー分析器を光電子スペクトルの測定に用いました。全体のエネルギー分解能はhvに依存して0.1-0.5 eV程度でした。清浄な試料表面はAr+イオンのスパッターによって得ました。スペクトルのエネルギーは、試料あるいは新たに蒸着した金薄膜のフェルミ準位を測定して決めました。
 光电子スペクトルの元素および轨道量子数による変化は、光イオン化断面积spの入射光エネルギーEinc依存性によって决めることができます。図6(产)は骋诲と颁辞についてそれを示したものです。Einc ~ 50 eV付近ではCo 3d、100 eVを超えるとGd 4fの値が非常に大きくなります。

図6:電子分光の測定方法。(a)光電子分光、(c) 逆光電子分光、(d) 軟X線吸収および発光分光。(b)元素および軌道量子数ごとの光イオン化断面積。

6.2 逆光電子分光
 逆光電子スペクトルは、広島大学放射光科学研究所の共鳴逆光電子分光測定ステーションで測定しました。その模式図を図6(c)に示します。装置は研究所自家製のもので、低エネルギー電子銃、不等刻線間隔球面回折格子、および一次元光子検出器を組み合わせています。電子銃から放出される電子のエネルギーは50 eVで、そのときの全エネルギー分解能はおよそ0.5 eVです。スペクトルのエネルギーは、新たに蒸着した金薄膜のフェルミ準位を測定して決めました。清浄な試料表面はダイヤモンドやすりによって真空中で研磨することにより得ました。

6.3 軟X線吸収分光
 軟X線吸収および発光は、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の放射光実験施設(フォトンファクトリー)のビームラインBL-13Aで行いました。図6(d)の試料(Sample)までが、軟X線吸収分光の模式図です。線型アンジュレータ挿入光源から放出される軟X線は不等刻線間隔回折格子によって単色化されます。測定は、Gd 4p (~265 eV)、4d (~145 eV)およびCo 2p (~777 eV)吸収端付近で、部分光子収量法によって行いました。エネルギー分解能は0.1 eVより優れています。

6.4 軟X線発光分光
 軟X線発光分光は、試料から放出される光子を球面回折格子を持つローランド型分光装置を用いて分光し、CsIを塗布した多チャンネル検出器によってカウントします。エネルギー分解能はおよそ0.3 eVです。Co 3d部分DOSは、Co 2p吸収端を超えた入射光エネルギーが760-785 eVの範囲で測定を行いました。

研究プロジェクトについて

 本研究は文部科学省科学研究费补助金?学术変革领域研究(础)「超秩序构造科学」および基盘研究(颁)、科学技术振兴机构颁搁贰厂罢、および东北大学金属材料研究所骋滨惭搁罢共同利用システムの支援を受けて実施されたものです。

论文情报

論文タイトル:Changes in electronic structures of Gd65Co35 metallic glass by cryogenic rejuvenation(極低温若返りによるGd65Co35金属ガラスの电子构造の変化)
著者:Shinya Hosokawa, *1 Hitoshi Sato, *2 Yasuhisa Tezuka, *3 Jun-ichi Adachi, *4 Kentaro Kobayashi, *1 Koji Ohara, *1 Yuan Tan, *5 Tetsu Ichitsubo, *5 Rui Yamada, *5 Hidemi Kato*5
*1岛根大学材料エネルギー学部、*2広岛大学放射光科学研究所、*3弘前大学大学院理工学研究科、*4高エネルギー加速器研究机构物质构造科学研究所、*5东北大学金属材料研究所
掲載誌:Scripta Materialia
顿翱滨:10.1016/箩.蝉肠谤颈辫迟补尘补迟.2025.116933

【お问い合わせ先】

〈研究に関すること〉
?島根大学 材料エネルギー学部 細川伸也 (ほそかわ しんや) 研究員
 電話:0852-32-6666    メール:s_hosokawa*mat.shimane-u.ac.jp


〈报道に関すること〉
?島根大学 企画部 企画広報課 広報グループ
 電話:0852-32-6603    メール:gad-koho*office.shimane-u.ac.jp

?広岛大学 広报室
 電話:082-424-4518    メール:koho*office.hiroshima-u.ac.jp

?弘前大学 大学院 理工学研究科 総務グループ総務担当
 電話:0172-39-3510    メール:r_koho*hirosaki-u.ac.jp

?高エネルギー加速器研究机构
 電話:029-879-6047    メール: press*kek.jp

?東北大学 金属材料研究所 情報企画室 広報班
 電話:022-215-2144    メール:pro-adm.imr*grp.tohoku.ac.jp

 (*は半角@に置き换えてください)
 


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