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【研究成果】振動の「ゆらぎ」を捉え、振動を抑える精密制御 ━ 準周期外乱オブザーバの開発 ━

本研究成果のポイント

  • 机械や电気システムの制御精度を悪化させる、ゆらぎのある振动(高调波)外乱の準周期性に着目
  • 準周期外乱を推定?补偿する準周期外乱オブザーバを开発
  • 外乱抑圧感度(制御精度)の50%の改善に成功

概要

 広島大学 大学院先进理工系科学研究科 機械工学プログラムの村松久圭准教授は、産業用ロボットなど、繰り返し運転を行う機械?電気システムに頻繁に現れ、その制御精度を悪化させる高調波(振動)外乱の問題に対し、ゆらぎを含む高調波を精密に観測?補償する制御アルゴリズム「準周期外乱オブザーバ」を開発しました。
 本研究は、外乱の準周期性*1に着目した点が世界的に稀有であり、準周期外乱を独自に定式化することで、高调波に含まれる「ゆらぎ」を捉えることに成功しました。そして、定式化された準周期外乱のモデル*2に基づき、準周期外乱を推定?补偿する制御アルゴリズムを导出しました。
 準周期外乱オブザーバの特徴は、高调波のゆらぎに対して强い点にあります。従来技术では、高调波にゆらぎが生じた场合に性能が着しく悪化してしまう问题や、他の性能とのトレードオフが存在していました。これに対し、村松准教授が过去に开発した周期/非周期分离フィルタ*3を活用し、ローパスフィルタ*4を适切に设计することで、従来技术が直面していたトレードオフへブレイクスルーを果たしました。これが、高调波のゆらぎに対する强さの获得につながりました。
 今后の展开として、高调波は机械および电気システムにおいて幅広く生じる问题であり、これら产业机器への実装と実用化を目指します。
 本研究成果は、2025年5月16日に学術専門誌IEEE Transactions on Control Systems TechnologyのEarly Access版へ掲載されました。
 

论文情报

  • 掲载雑誌名
    IEEE Transactions on Control Systems Technology
  • 论文名
     Quasiperiodic Disturbance Observer for Wideband Harmonic Suppression
  • オンライン版鲍搁尝
     https://ieeexplore.ieee.org/document/11006295
  • 论文公开日
    &苍产蝉辫;2025年5月16日
  • 着者
    Hisayoshi Muramatsu

背景

 高调波外乱は机械および电気のあらゆるシステムにおいて生じ、システムの制御精度を悪化させてしまう问题です。例えば、产业用ロボットには精密かつ长时间の繰り返し运転が求められています。しかし、その繰り返し动作や周囲に存在する振动源によって高调波外乱(振动、姿势変动、重力、摩擦、リップル、等)が生じ、これらが制御精度の劣化を招きます。そこで、本研究はこの问题を解决するため、制御アルゴリズム开発に取り组みました。
高调波外乱は基本周波数の整数倍となる特定の周波数に现れる波(図1)であり、それら全てを的确に补偿する必要があります。さらに、现実の高调波が厳密に周期性を満たすことは稀であり、実际には振幅や周波数にわずかなゆらぎを伴う场合がほとんどです。特にこの「ゆらぎ」を适切に扱えるかどうかが、制御手法の実用性と有用性を左右します。本研究は、そのようなゆらぎを含む高调波を抑圧するため、広帯域な高调波抑圧を実现する準周期外乱オブザーバの研究を実施しました。
 

図1.高调波

研究成果の内容

 本研究は、村松准教授が過去に提案した準周期性の定義および周期/非周期分離フィルタに関する知見(H. Muramatsu, “Separation and Estimation of Periodic/Aperiodic State,” Automatica, vol. 140, p. 110263, 2022.)を起点として実施しました。まず、高調波と直流成分を含む周期外乱の定義を、ゆらぎのある準周期外乱へと拡張しました。そして、外乱を推定するため、外乱オブザーバと呼ばれるアルゴリズムを採用し、1次ローパスフィルタを伴う制御対象*5の逆モデルと共に外乱を推定しました。この推定外乱から零位相ローパスフィルタを统合した周期/非周期分离フィルタを通じて準周期外乱を推定することに成功しました。推定した準周期外乱をフィードバックすることにより、実际の準周期外乱を补偿することが可能となります。これら準周期外乱オブザーバの一连の流れを示したものが図2です。
 準周期外乱オブザーバの既存技术に対する优位性は、従来手法(繰り返し制御や周期外乱オブザーバ)が直面していたトレードオフを克服し、広域高调波抑圧?非周期外乱の非増幅?高调波抑圧周波数の非逸脱の机能を同时に実现した点にあります。これら性能を検証するためにモータを用いて実験を実施し、その结果が図3になります。本结果は外乱に対する感度を表しており、ゲインが小さいほど外乱を抑圧し、大きいほど外乱を増幅することを意味します。各手法は、特定の高调波が存在する周波数においてゲインを低下させる机能を有しており、従来手法では非周期外乱の増幅や、高调波抑圧周波数の逸脱といった问题が确认されました。これに対し、準周期外乱オブザーバは前述した広域高调波抑圧?非周期外乱の非増幅?高调波抑圧周波数の非逸脱という3つの机能を同时に実现しました。そして、ゲインの全周波数に渡る平均値を比较した结果、準周期外乱オブザーバは図3の各従来手法に対して、65%および50%のゲイン削减(外乱への感度削减)、即ち制御精度向上に成功しました。
 

図2.準周期外乱オブザーバ

図3.外乱抑圧性能の検証実験

今后の展开

 これまでに、繰り返し运転を行う多轴ロボット(図4)において、位置决め制御の高精度化に対する有効性を実験的に确认しています。そこで今后は、具体的な応用先として、产业用ロボットの位置决め制御のさらなる高精度化へ取り组んでいきます。
 一方で、高调波の问题は机械および电気を问わず幅広い分野で确认されている课题です。本研究で开発した、ゆらぎを含む高调波に対して坚牢な準周期外乱オブザーバは、実用性の高い制御アルゴリズムとして确立されています。この実用性を活かし、さらに多様な机械?电気システムへの応用が期待されます。

 

図4.多轴ロボット

用语解説

*1)&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;準周期性:一周期ごとの変化が缓やかな、おおよそ周期的な性质
*2)&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;モデル:现象やモノの数式表现
*3)&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;周期/非周期分离フィルタ:信号を準周期?準非周期信号へ分离するアルゴリズム
*4)&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;ローパスフィルタ:缓やかに変化する信号のみを通过するアルゴリズム
*5)&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;&苍产蝉辫;制御対象:ロボットやモータなど、操作しているモノ

谢辞

 本研究は双葉電子記念財団および日本学術振興会 科学研究費助成事業 JP25K17560の支援を受けて行われました。
 また、本研究成果は、広岛大学から论文掲载料の助成を受けています。
 

【お问い合わせ先】

 広島大学大学院先进理工系科学研究科 准教授 村松 久圭
 罢别濒:082-424-7575 贵补虫:082-422-7193
 贰-尘补颈濒:尘耻谤补尘补迟蝉耻*丑颈谤辞蝉丑颈尘补-耻.补肠.箩辫
 (*は半角@に置き换えてください)
 


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