【本研究成果のポイント】
〇 場の量子論に基づく研究によって1種類のマヨラナニュートリノに対して従来 のニュートリノ振動とは異なる振動現象が起きることを示した。
〇 この振動はマヨラナニュートリノに特徴的で、 マヨラナ質量 (m)によるレプトン数 (L)の変化を伴い、 非相対論的な場合にその効果は大きくなる。
〇 振動は1体の L=1 を持つニュートリノ(${\nu}$)の状態と L=-1 を持つニュートリノと反ニュートリノ対($\bar{\nu}$$\bar{\nu}$)からなる3体の状態の間で起きることを示した。
【概要】
ニュートリノには電子ニュートリノ、 ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類があることが知られており、 ニュートリノは伝搬していく過程でミューニュートリノから電子ニュートリノへというように種類が変化することが知られている。この現象はニュートリノ振動と呼ばれている。振動現象は種類が異なるニュートリノ間で起こるが振動前後で1体のニュートリノであることには変わりない。このようなニュートリノ振動現象は量子力学を用いて記述できる。 量子力学を特殊相対論と整合するように拡張した枠組みが場の量子論である。場の量子論を用いて記述できる現象として粒子の対生成や対消滅がある。これらの現象は反応の前後で粒子数の変化を伴う点が特徴である。
本研究では場の量子論を1種類のマヨラナニュートリノに対して適用した。この結果、 マヨラナ質量項により真空から反ニュートリノ対の生成が起きることにより 1体と3体の状態間で次のような混合が起きることがわかる。
ニュートリノ${\nu}$に対してはレプトン数 L=1 を割り当てることができ、 反ニュートリノ $\bar{\nu}$ に対しては L=-1 を割り当てることができる。レプトン数の観点からいえば、 上記の振動は L=1 の1粒子状態と L=1+(-1)× 2=-1 を持つ3粒子状態の間で起きていることがわかる。マヨラナニュートリノのレプトン数が時間とともに L=± 1 の間を振動することは,知られていたが、 今回の研究で L=-1 の状態がニュートリノ(${\nu}$)+反ニュートリノペア($\bar{\nu}$$\bar{\nu}$)からなる3体の状態であることが初めて明らかになった。
【论文情报】
“The Probability for Chiral Oscillation of Majorana Neutrino in Quantum Field Theory”, Takuya Morozumi and Tomoharu Tahara, Originally published in Progress of Theoretical and Experimental Physics, Volume 2025, Issue 6, 063B07, https://doi.org/10.1093/ptep/ptaf079, ?Takuya Morozumi, Tomoharu Tahara, June 2025. Published by Oxford University Press on behalf of the Physical Society of Japan.

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